経営コンサルタントコラム 2016年7月12日号

戦略と戦術・戦法

事業戦略策定のため、たくさんの分析方法が編み出されてきました。

代表的なものをあげるとすればSWOT分析でしょうか。

 

SWOT分析は事業を強み、弱み、機会、脅威に分けて分析するものです。

事業に関係する内的なもの(会社)、外的なもの(社会)を考えるに優れた方法です。

 

外的なものは、PEST分析という手法を用いると便利です。

PEST分析とは、事業について、政治、経済、社会、技術といったキーワードで分析する方法です。最近はこれに環境と法律いう言葉を加えて分析し、PESTEL分析といったりします。

 

他には5フォース分析(競合について、新規参入や代替品、売手・買手との関係で見る)や、3C分析(自社・競合・顧客との関係性を重視)などがあり、これらを参考にしながら事業について、外部、内部それぞれの状況を把握していくことになります。

 

こうして事業がどういうような外部環境に置かれ、その環境がどう変化していくか、また、事業の強みや弱みをコツコツ分析していくと、「今どうなってて、将来どうなりそう」かが見えてきます。

 

強みと機会が重なるならば積極的に進めるべきですし、強みがあっても脅威があるような状況であれば、慎重に事を運ばねばなりません。

 

反対に弱みがあっても将来的に伸びそうな話ならば、弱みを克服するようにすべきでしょうし、弱みがあって市場環境的にもダメならば、「見込みなし」です。

 

と、このように頭の良い学者の先生方が編み出してくださった様々な分析方法を駆使すると、戦略の方向性は見えてきます。

 

あとは自分たちがそれをすべきか否かといったミッション的な話で方向性を定めればOKです。

 

大切なのは、実はこのあと、

 

「で、なにをするの?」

 

という具体策を策定し、実践することです。

 

戦略だけで事が済むなら、シャープだって、サンヨーだって東芝だって、今のようにはなっていないでしょう。間違いなく、戦略系のお高いコンサル会社さんが、理論的に正しい戦略を作ってくれたはずですから。

 

戦略だけじゃだめなんです。

 

戦略を練るのに疲れて具体策に及ばなければ、事はうまく運ばないのです。

仏造って魂入れず、という言葉もありますね。

 

戦い全体を大きく見定めるのが戦略であって、個別の戦い方を示すものではありません。

どういった策を講ずるかといった具体的なものは、戦術・戦法ということになります。

 

例えば、人気のハイブリッド・カーを作っても、広告を一つも打たなければ、せっかく作った車も知ってもらうことすらできませんね。また、お客さんとの話の仕方や交渉の仕方を間違えれば、買ってはくれません。

 

極端に言えば、戦術・戦法が優れていれば、売れないものも売れるのです。

効果がよくわからない健康食品とかやたら高い布団とか、ありますよね、普通には売れない、そういう類のもの。売り方がうまいんです。

ただ永久には続きません。そもそも売れないものですから。だから戦略が必要になるのです。

 

どうしても、アカデミックなイメージの戦略>ドブ板の戦術・戦法という関係で見てしまうことが多くて、戦術・戦法については考えが疎かになりがちです。

戦術・戦法は現場の経験がないと生み出せません。それが企業や人のもつノウハウです。

 

そもそも何かとリソース不足の中小企業です。

足らないものを埋め、補完し、また、具体策(戦術・戦法)に優位性をもっている会社が生き残っていくことになるでしょう。

 

過去の状況を分析して「こうなってます」「こうでした」も、もちろん大切ですが、本当に重要なことは、そこから何をすべきか、できるか、するかということです。

 

戦略構築だけで満足せず、戦術・戦法まで具体的に落とし込んで、実践し、結果を検証しまたチャレンジするプロセスを繰り返しましょう。

 

ちゃんとやるって案外難しいものです。

しかし、やれば結果はきちんとついてきます。

 

PDCAを繰り返しながら戦うスキルを高め、ノウハウを積み上げてまいりましょう。

 

池田

 

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