経営コンサルタントコラム 2012年12月分

金融円滑化法が終わるとどうなる?(3)-2012年12月7日号

■円滑化法終了後、何が起きるか

 

では、円滑化法が終了するとどうなるのか。

 

これまで公に認められてきたリスケは今後無理なのか?

はてさて貸し剥がしなどが頻発し、中小企業がばたばた倒産するのか?

 

結論からいうと上記いずれも起きないでしょう。

 

なぜかというと、円滑化法施行前の状況に戻るだけだからです。(当たり前ですね)

 

円滑化法施行前でもリスケ(貸付条件の変更)は行われていましたし、リスケ中

の企業に対する新規融資はほとんど行われていませんでした。鑑みると、貸し剥

がし、という状況が急に起こり、混乱するかというとそのようには考えづらい。

 

ただ、円滑化法があったときのように簡単にリスケはできなくなります。

貸付条件の変更の契約は半年、1年ごとであったり、3か月ごとであったり、都度

見直しができるようになっています。つまり、今の貸付条件の変更契約の次の更新

タイミングが円滑化法終了後であると、これまでのように簡単にはいかない、とい

うことになります。この点は十分注意してかからなければなりません。

 

■金融機関側の事情

記載のとおりにやれば不良債権としなくてもよい、という法律がこの世から消える

わけですから、その後は不良債権が表に出てきます。普通の金融機関でしたら、

不良債権処理を進めて、財務体質を健全化したいところ。ただ、この処理を一気に

進められるような金融機関はそう多くはありません。

 

不良債権を処理すれば損が出ます。処理といってますが、引当金や貸倒損失つまり

費用ですね。ということは、税引き前当期利益がその分減少します。当然、税後

の当期純利益も減るわけですから、不良債権を処理しすぎると赤字になってしま

う理屈です。引当金を積んで負債が大きくなったり、純利益が赤字になればその分

資本が毀損します。自己資本は金融機関にとって重要なキーワードでしたね。この

ような理由により、おいそれとは不良債権処理できない事情が金融機関側にもある

のです。

 

ただ、気を付けなければならない点もあります。それはメガバンク。

メガバンクの財務状況は相当に改善され、最高益を出すほどです。不良債権の処

理の準備は整っています。

もしかすると、メガバンクはリスケに応じず、処理の方向に向くかもしれません。

なにが起きるかというと、サービサーなどへの貸付債権の売却です。しかし、

これも交渉相手がサービサーさんになるだけです。銀行さんと比べたら少々タフ

な交渉になるかとは思いますが、きちんとした返済計画を示せばそれなりにきち

んと対応してくれます。

 

■円滑化法終了を見越してすべきこと

先程申したように、リスケ(貸付条件変更)についてはこれまでのようには簡単

にいかないかもしれません。

 

これまではある意味借り手の方が強かった。

貸し手金融機関からすればリスケを申し込めば認めざるを得なかったわけです。

しかしこれからは、しっかりとした返済計画、事業計画の提出を求められるで

しょうし、そもそも“認めなくてもよい”という強いポジションに金融機関の

立ち位置が変化します。

 

とはいえ、前述の理由で全面的に非協力的な金融機関は少ないでしょう。また、

企業が潰れては貸し手金融機関も全損です。ある意味、企業と金融機関は一心

同体にあるわけですから、闇雲な処理、理不尽な応対などは考えにくい。

とすると、きちんとした返済計画、事業計画を作り、きちんと金融機関と話合

っていくことが“円滑化法終了を見越した対策”になります。

 

しかし、返済計画や事業計画をしっかり作るのは誰の為でもない、その企業自身

のためです。自らの財務状況を認識し、事業の計画を練り、何ができて何ができ

ないか、どうやって会社を継続させていくかを考えるのは当り前にしなければな

らないことです。

 

きちんとやるべきことをやる、これができれば円滑化法終了恐れるに足らず、です。

 

池田

 

金融円滑化法が終わるとどうなる?(2)-2012年12月3日号

■円滑化法ってそもそも何?

ここで、円滑化法ってそもそも何なのだ?ということについてお話します。

円滑化法を利用しているのにかかわらずよくわかっていない社長さんもいたりしま

すので、少々おさらいです。

 

条文に書かれている円滑化法の目的は、次のとおりです。

「この法律は、最近の経済金融情勢及び雇用環境の下における我が国の中小企業者

及び住宅資金借入者の債務の負担の状況にかんがみ、金融機関の業務の健全かつ

適切な運営の確保に配意しつつ、中小企業者及び住宅資金借入者に対する金融の

円滑化を図るために必要な臨時の措置を定めることにより、中小企業者の事業活

動の円滑な遂行及びこれを通じた雇用の安定並びに住宅資金借入者の生活の安定

を期し、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的

とする。」

 

はい、長い文章ですね。

 

さて、大きく分けてポイントは4つ。

1.金融機関の努力義務

2.金融機関自らの取り組み

3.行政上の対応

4.更なる支援措置

 

■円滑化法のポイント

もっとも重要なポイントは1.金融機関の努力義務です。

これがあるからリスケジュール(貸付条件の変更)に応じてもらえるのですね。

 

その内容は、

・金融機関は、中小企業者又は住宅ローンの借り手から申込みがあった場合には、

できる限り、貸付条件の変更等の適切な措置をとるよう努める。(注)対象となる

金融機関は、銀行・信金・信組・労金・農協・漁協及びその連合会、農林中金。

・金融機関は、申込み又は求めがあった場合には、他の金融機関、政府関係金融

機関、信用保証協会、企業再生支援機構、事業再生ADR、中小企業再生支援協議

会等との連携を図りつつ、できる限り、貸付条件の変更等の適切な措置等をとる

よう努める。(金融庁資料より)

 

です。

 

上段の「~できる限り、貸付条件の変更等の適切な措置をとるよう努める」が肝

ですね。これがあるので、リスケの申込みがあったら原則応じないとまずいわけ

です。だから貸付条件の変更が容易なのですね。

 

■金融機関にとっての円滑化法

しかし、貸し手の金融機関にとっては厳しい内容です。

とりあえず申し込みがあったら貸付条件を変更せよ!というお達しです。

なかなか納得できません。そこで、金融機関側にとってもメリットがあるように

せねばなりません。そこで出てきたのが、貸付条件変更債権(リスケ申込みがあっ

た企業)は不良債権にしなくとも良い、という措置です。

不良債権にしてしまうと金融機関はその分だけ(区分によって何%等ありますが)

貸倒引当金を積まないといけません。貸倒引当金を積むことは費用が増す、とい

うことですから、その分金融機関の収益が圧迫されることになります。これをせ

ずともよい、というのは金融機関にとってはありがたい。

また、金融機関は自己資本比率を保持しなければなりません。資産としての貸付

債権が不良債権として負債になってしまうと応じて資本が小さくなってしまいま

す。これは困る。リスケに応じても不良債権と看做されないなら(実際は不良債

権ですが)まあ、良しとするか。そんな落としどころです。

 

まとめると、借り手にもプラス、貸し手にもデメリットだけでない格好で円滑化

法は船出したわけです。

 

今回はここまで。

次回は本題、円滑化法が終わるとどうなるか、についてお話します。

 

池田

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