経営コンサルタントコラム 2013年1月分

税務署を甘く見てはいけません。-2013年1月20日号

税務署(と社保)を甘く見てはいけません。

 

■税金で差押え

会社再生の相談を受けていると、税金や社会保険料を滞納している会社さんを見かけることがたびたびあります。

 

しかもまったく税務署や社会保険事務所などに足を運んでおらず、無視状態。

借入れ金融機関には何かとお願いに(返済条件の変更など)行っているのに、です。

これはまずいです。

 

なぜかというと、国などの行政は裁判を経ずに強制執行できてしまうからです。

強制執行とは平たく言うと差押えのことですね。

裁判手続きを経ずにすぐ差押できちゃう。いきなり来るわけです。

 

つまり、前日までなんの音沙汰もなかった(本当は「ちゃんと支払ってください」という手紙が来ているわけですが)のに差押えられた!ということが起こり得る。

 

こわいですね。

 

普通、差押えされるまでには債務名義をとったり、督促を出したりなど事前にやらねばならぬ(異議を述べる機会を与えられている)ことがあり、いきなり差押えられることはありません。

 

しかし、税金や社会保険料を未納のまま放っておくといきなり来ることがあるのです。

 

最近の不景気で税収が伸び悩むなか、徴収側も回収に躍起となっています。

私の耳にも「某税務署はすぐ差押えるから、要注意だよ」などというコンサル仲間からの情報が入ってきたりしているほどです。

 

■無剰余でも差押!?

差押えは嫌ですよね。

 

登記簿にも記載されますので、税金を払ってないのが丸わかりです。

で、差押えられると究極的には競売されることになります。

 

「うちは不動産にすでに担保設定されているから差押えしても意味ないよ」

という方もいらっしゃるかもしれません。

たしかに、普通は意味の無い差押えはしませんし、無益執行の禁止という大原則があるので、剰余が無ければ基本的にできません。

 

しかし、現場実務ではたびたび差押えされています。

 

無剰余だからとたかをくくっていたらといきなり税務署が差押えてきた、ということがたびたび起きています。

 

そもそも剰余だ無剰余だというのは、その不動産の価格がはっきりしていなければわかりません。根抵当権が設定されていれば、設定額があったとしても実際にはいくらの債務なのかはわかりません。

 

なので(たぶん)彼らは差押えをしてしまう。

 

登記手続き自体は書面主義ですから、

書類が整っていれば差押の登記はできてしまいます。

 

つまりは税や社保の未納を放っておけば、不動産がどういう状況であれ差し押さえされる、ということです。(文句がある場合は異議の申立てができます。)

 

■差押えの影響と対応策

お金を借りるときに結んだ契約書に解除事項や期限の利益喪失事項の規定がありませんでしたでしょうか。

 

大抵の場合(おそらくほぼ100%)、差押を受けた場合、という文言が入っています。

ということは、差押えられると期限の利益も喪失することになりますね。

つまり、一括返済を迫られるわけです(無い袖は振れませんが)。

 

困りますね。

 

しかも前触れもなく(あくまで主観)斯様な状況に陥ってしまう。

こわいですね。

 

とはいえ、行政ですからとことんまで極悪非道かというとそうではありません。

 

きちんと説明に(怒られに)行き、

きちんと状況を話し、

できること(支払える金額)は何か伝え、

承諾をお願いし、

決まったことはきちんとやる(支払う)。

 

これさえすればいきなり差押えなどという緊急事態は回避できます。

 

そうです、銀行さんに対してしていることと同じことをすればいいのです。

 

■税務署も人

せっかく税務署まで足を運んだのですから、

 

「税金で食ってる奴がっ」

「誰のおかげで飯が食えてると思ってるんだ」

 

などという悪態は間違ってもついてはいけません。

(こういう方、案外多いんですよね)

 

先方も人です。

心証を悪くして、わざわざこちらから厳しい状況を作る必要はありません。

そもそも税金を払っていなければ、上記のような悪態はつけないはずですが。

 

国や県・都、社会保険事務所など行政に対しても、銀行さんに対して行っている行動と同じように誠実に説明し、了承を経るというプロセスを必ず踏んでください。

きちんと話せばきちんと対応してもらえます。

 

もし忘れていた、という方がいらしたらすぐにでも連絡し、会いに行ってください。

避けられる差押えは避け、再生を成し遂げましょう。

 

池田

リスケは手段であって目的ではない-2013年1月12日号

■円滑化法利用数と倒産数

金融庁によると、金融円滑化法の申込件数はこれまで313万件あるそうです。

1社あたりの金融機関数を5行と仮定すると、約60万社が円滑化法を利用して、

返済条件の変更(リスケジュール、リスケ)をされているということになりますね。

 

日本の中小企業数は約180万社ですから、

全体の3割がリスケ中ということになります。すごい数です。

 

金融機関数を10行としても約30万社が円滑化法を使っていることになり、

中小企業全体の約1.5割がリスケ中という計算になります。

 

また、円滑化法利用後の倒産件数は2012年11月までで延べ416件。(TSR調べ)

残念ながら返済条件の変更では再生に至らなかった、もしくは潰れてしまった会社さんの数です。

 

これを多いとみるか少ないとみるか意見が分かれるところではありますが、

私としては少ない(60万社がリスケ中とすれば0.07%、30万社で0.14%ですからね。)

と思います。

 

新聞などでずいぶんと円滑化法利用企業の倒産が増えたと騒がれていますが、

誤差の範囲だと思います。

 

■なぜリスケジュール?

ところで、なぜ円滑化法を利用してリスケを申し込むのでしょう?

 

売上の低迷などで当初の約定通りの返済が難しいからですね。

単純に言えば返済額だけのお金が足りない、無い。

 

①返済できるほど儲かってない、または赤字である

②減少するキャッシュを鑑みると手許資金が早期に枯渇する

 

まとめるならばこの2点でしょうか。

 

返済額が大きすぎるのか、はたまた儲けが少なすぎるのか。

事業で得たお金より出ていくお金の方が多いわけですから、

手許資金はグングン減っていきます。

 

こわいですね。

 

普通の神経であれば、このままでは潰れるんじゃないかという心配で、

夜も眠れない状況に陥ります。

たしかにそのまま資金が枯渇するまで放置すれば会社は倒産します。

 

■ほっと一息?

どうすればいいのかわからないまま時が過ぎていきます。

手許資金もどんどん減っていきます。

 

もう無理、という段階で銀行に相談して返済条件の変更を願い出ます。

(円滑化法下では、とりあえず金融機関に申し出れば、たいていの場合、

リスケに応じてくれます。)

 

返済条件の変更をして、返済猶予をしてもらうと、

とりあえず返さなくて良いわけですから、返済資金が足りない、

という悩みからは一時的に解放されます。

 

ホッと一息です。

多少はゆっくり眠ることができるでしょう。

よかったですね。

 

しかし、ここで注目して欲しいのが返済猶予の「猶予」という言葉。

はい、お金の心配は「猶予」されているだけなのです。

 

■リスケは根本的な解決にならない

返済が「猶予」されることで、「一時的に」資金の流出が食い止められる。

つまり、リスケでは基本的に何も解決していないのですね。

 

短期的な資金繰り難という課題はリスケでクリアできます。

しかし、根っこの部分を改善しなければ状況は変わらないのです。

 

重要なのは、なぜ資金不足に陥ったのか、ということ。

その理由を探し、改善策を練り、実行し、問題を解決しなければ、

真の意味で悩みから解放されることはありません。

 

たとえばそれが売上の減少なら、商品力や営業力の低下や市場の縮小、

価格競争、はたまた脆弱な営業体制など様々な要因が考えられます。

 

商品力を上げようにも資金が無い中では新製品の開発が可能とは思えません。

市場が縮小し、価格競争になっていれば自社だけが抗うのは難しいでしょう。

脆弱な営業体制の改善は一朝一夕にできるわけではありません。

 

できない理由はすぐにあがります。

 

■ではどうすれば?

そのなかで何ができるか。

それを考え、実行すること。

それはコストの削減かもしれませんし、

企業文化を変えるようなことかもしれません。

また、それに抵抗する人たちもいるかもしれません。

 

できれば目を背けたい現状と課題から逃げず、これを直視し、改善策を打っていくことが将来の安心、社員や経営者の幸せに繋がります。

 

やらなければならないことが分かれば、それをやるだけ。

単純です。

 

リスケは再生への手段の一つであって、目的ではありません。

再生ステップの1合目として倒産を回避する、そのための手段です。

目的はあくまで会社や事業の再生。

 

やらなければならないことは山ほどあります。

とはいえ、千里の道も一歩から。

安心せず、狼狽えず、冷静かつ気概をもって取り組んでまいりましょう!

 

池田

明けましておめでとうございます-2013年1月4日号

新年明けましておめでとうございます。

 

年末バタバタと急ぎの仕事があったため、コラムの更新がままならず申し訳ございませんでした。本年よりまた「ほぼ週刊」で更新していきたいと思っておりますので、引き続きご愛顧の程宜しくお願いいたします。

さて、今年は3月に金融円滑化法が終了することもあり、中小企業にとってはいろいろと変化のある年になるかと思います。円滑化法を利用していない企業にとっては取引先の信用状況、利用している企業にとっては終了後の銀行さんとの付き合い方、銀行さんから求められたものへの対応など、業績が良い企業もそうでない企業も円滑化法終了により何らかの影響があることは予想できます。今年は巳年。柔軟にかつ強い経営体質を作っていきたいところですね。

 

用意周到、準備万端、先手必勝。

 

本年も宜しくお願いいたします。

 

 

池田拝

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