経営コンサルタントコラム 2013年6月分

会社を継ぐ人が知っておいたほうがよいこと②

『会社の財務状態を知る』

 

会社にいくら資産があって、いくら負債があるか。

いくら売ってて、いくら儲かっているか。

借金がいくらあって、それは返せる金額なのか。

 

財務諸表を見れば(一応)わかります。

 

さて、ここで財務諸表について。

財務諸表とは、前述の通り、ざっくりいうと会社の資産負債の状況と売上と利益の結果が載っている書類です。資産負債の状況を表したものを貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)といい、売上利益の結果が載っているものが損益計算書(そんえきけいさんしょ)といいます。

 

貸借対照表は、略語でB/S(ビーエス)と呼ばれることが多いです。一方の損益計算書はP/L(ピーエル)と呼ばれます。B/SはBalance Sheet(バランス・シート)の頭文字、P/LはProfit & Loss statement(プロフィット・アンド・ロス・ステートメント)の略語ですね。これからはこの略語を使っていきます。

 

早速見方。

 

B/Sは表の左側が資産、右側が負債と資本となっています。

構造的には、資産=負債+資本 という感じになっています。左の総額=右の総額ですね。つりあっているのでバランス・シートと呼ぶわけです。

持っている資産に比べて負債(借入など)が大き過ぎると、資本がマイナスになります。これを債務超過(さいむちょうか)といいます。例えば資産 100なのに負債が150の場合ですね。この場合、資本は▲50となり、50の債務超過、ということになります。経営状況的には、かなりよろしくない状態 です。資産を全部お金にしても負債を返せないわけですから。

 

さて、借金がいくらあるのかはどこを見ればよいかというと、右側、負債の部を見ればわかります。借入金が出てますね。借入金は短期と長期に分けられ て記載されていますので、それを足したものが借入額となります。他、社債というものがあればそれも借入です。それを全部たせば借入が全部でいくらあるかが わかりますね。

 

はい、これでいくら借入があるのかがわかりました。

 

でこれが返せる金額なのかどうか、気になりますね。

 

返せるかどうか、ということは、つまり、返すためのお金を会社が生み出せているかどうかを知らねばなりません。

 

それは何を見ればいいかというと、P/Lです。損益計算書ですね。

損益計算書は、以下のような感じで構成されています。

 

売上、売上原価、売上総利益(俗に言う粗利)、販管費、営業利益、営業外利益、営業外費用、経常利益、特別利益、特別損失、税引前当期利益、法人税等、税引後当期利益。

 

売上があって、原価があって、粗利があって販管費を引けば営業利益です。簡単ですね。

 

ここで最後の税引後当期利益を見れば、いくら稼いだか、言い換えれば会社が返済する力があるかがわかると思った方、残念ながらそれは早合点です。

 

というのも、いわゆる「利益が出た」ということと、「いくら儲かった」こととは違うんですね。

 

それはなぜかといいますと、

 

P/Lの費用には減価償却費とか○○引当金繰入とか実際にお金が出て行かない費用項目が入っているからですね。同じように○○引当金戻入とか実際にお金が入ってこない利益項目もあるのです。なので、P/L上の○○利益が「いくら儲けた」と同じことにはならないんです。

 

なので、税引き後当期利益からこのお金の出入りを伴わない費用項目を戻しこんででた数値が実際の儲け額、事業を1年間運営して残ったキャッシュということになりますね。

 

これであなたの継ごうとしている会社が1年間でどれだけキャッシュを生み出せるかがわかりました。ついては1年間で返済できる限界額もわかりましたね。

 

次回は最後、キャッシュフローと借入額の関係をお話します。

 

池田

会社を継ぐ人が知っておいたほうがよいこと①

『連帯保証も引き継ぐ』

 

父親や祖父が創業者である、2代目あるいは3代目候補の方がそろそろ本格的に代替わりをするタイミングにきているようですね。皆さん親孝行ですばらしい。しかし伴い、再生支援の相談も最近は2代目3代目さんからのものが増えてきました。継いだは良いけど、ふたを開けたら「ええっ」という状態が多いようです。

 

さて、「会社を継ぐ」とはどういうことなのでしょう。

 

社長になる。

代表取締役になる。

 

もうひとつ、上の二つとはちょっと違った、しかし大きなものを引き継ぎます。

 

それは連帯保証。

 

中小企業の代表者は、会社の借入についてほぼ100%連帯保証しています。

代表者が替わると貸し手は新しい代表者に連帯保証を求めます。

 

連帯保証とは、文字通り債務を連帯して保証するということですが、簡単に言うと借金の保証人です。それが連帯であれば検索の抗弁がない云々といろいろあるわけですが、とりあえずは、会社が借入れを返せなくなったら自分に降りかかる、と考えていただけばいいかと思います。会社の借入は個人とは大きさが違いますので、そうなると普通は破産しますね。

 

つまり、連帯保証することで公私の別が無くなるわけです。

会社が倒産すれば、連帯保証人の代表者は私財を差し押さえられ、貸付金の回収に充てられるわけですね。汚い言葉で言えば「ケツの毛まで抜かれる」わけです。

 

これを引き継ぐわけです。

 

重いですね。

後継者にも家族がいるでしょう。

年代的にまだ手のかかる小さいお子様もいるかもしれません。

 

で、なにが言いたいかというと、

会社の財務状態を知らないで引き継いでいいんですか?

ということ。

 

知ったところでどうせ引き継がなきゃいけないのだから、そんな小難しいことは知る必要なし、という豪快な方もいらっしゃるでしょうが、普通はそれならそれで心の準備をしておきたいものです。

 

財務状態を知る。

小難しい言い回しですが、簡単に言うと「財布の中どうなってるの?」ということです。

連帯保証の視点からみれば、「カネ返せんのか!?」ということですね。

 

会社を引き継いだら、代表者になったら、連帯保証も“もれなく”付いてくるわけですから、引き継ぐ会社がどういうお財布状態にあるのかは知っておきたいところ。“火の車”を引く継ぐなら、それなりの覚悟がいる、ということです。

 

ではどうやって火の車がどうかを知ることができるか。

何を見ればわかるのか。

 

理想的には、「資金繰り表」です。

資金繰り表は文字通り資金繰りの状況を表にしたもので、現金の出入り(収支)が記載されています。現金が出ていく方が多ければ、つまりはお金が減っていくということですから、よろしくない状態と言えるわけです。

 

しかし、小規模企業さんとかですと資金繰り表をつけてらっしゃらないところもあるんですよね(本当は良くないですけど)。資金繰りは社長さんの頭の中、というところも多いです、実際は。親父教えてくれよというのもなかなか言いづらいでしょうし、教えてくれてもどこまで本当か怪しいところ(経験上)です。会計屋さん入れて財務デューデリジェンス(精査)する場合などは、会社の通帳を全部あらっていく、という作業をしたりしますが、会社を継ぐ前にそんなことできません。

 

となると自分で調べるしかない。

 

じゃあ何を見て?というと、これはもう財務諸表。ウソや粉飾が散りばめられているかもしれませんので要注意は要注意ですが、会社のお財布状態がわかるものはこれしかありません。

 

(次号へつづく)

 

池田

過去10年の統計データから見た中小製造業の状況

先日、「規模別製造工業生産指数<中小企業>平成25年4月速報」が公表されました。

これを見れば中小製造業の生産動向がわかるわけですね。

 

さて早速ですが、平成17年を100とした場合の4月の指数は、

 

生産が89.5(前年同月比▲2.3)

出荷が88.5(同▲1.6)

在庫が98.5(同0.4)

 

在庫だけ増えてます。。

 

規模別製造工業生産指数

 

アベノミクスで株高にはなりましたが、中小の工場まではまだまだ下りてきてないよね、という現状。むしろ下がってますね。

 

この数字がプラスに動いてくるようになれば、景気回復し始めたな、という感じもしてくるでしょうね。統計が発表になる前に現場の肌感の方が速くて正確だったりしますが。

 

せっかくですので、過去10年の工業指数を調べてみました。製造業といっても千差万別。どの分野が良くて、ダメなのか、傾向を探ってみようと思います。

 

で、統計データをまとめたものがこちらのグラフ。

代表として、製造業全体、一般機械工業、電気機械工業、情報通信機械工業の4つをあげてみました。

 

中小規模工業生産指数

 

こちらのグラフは前年同月比の推移を見ているので、マイナスに振れたら同じだけプラスに振れないとペースは維持できないことになります。

 

2004年から2008年途中迄は同じ振れ幅で推移してますよね。

変化が激しくなるのは2008年以降。

 

そうです。

 

リーマン・ショックの年です。

 

ここから振れ幅が激しくなります。

 

情報通信機械工業に至ってはリーマン直前に大きな伸びを示していたのが一転、がつんとマイナスの局面に入り、前年割れ状態から抜け出せなくなります。

 

反面、電気機械工業はリーマンショックの影響は受けたものの、順調に回復し、多少前年割れの時期もあるにせよ、全体としては大きく成長しています。

 

製造業全体としてはリーマンショックを受け、マイナスに振れたものの持ち直し、以降じりじりとマイナス成長の感じで推移しています。

一般機械工業の分野が製造業全体の流れと近い推移を示してますね。

 

中小製造業は厳しい、といわれます。

現場を見ているとたしかに厳しい。

 

しかし、同じ中小製造業でも成長している分野があるんです。

 

ニオイ(情報)を嗅ぎ付け、新規開発や営業開拓してますか?

 

池田

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