経営コンサルタントコラム 2013年7月分

倒産とは何ぞや(2)銀行取引停止とは?

さて、次に出てくる疑問は「銀行取引停止」って何だ?ということですね。

これは東京手形交換所規則・施行細則第4章に詳しく書いてあります。

第62条 手形または小切手(この章において「手形」という。)の不渡があったときは、約束手形もしくは小切手の振出人または為替手形の引受人(以下「振出人等」という。)に対して、この章の定めるところにより、取引停止処分をするものとする。
2 参加銀行は、取引停止処分を受けた者に対し、取引停止処分日から起算して2年間、当座勘定および貸出の取引をすることはできない。ただし、債権保全のための貸出はこの限りでない。

取引停止とは、2年間当座を使えなかったり、借入をすることができなかったりすることをいうわけですね。

さて、ではどういった場合に取引停止になるのでしょうか?

第65条 不渡報告に掲載された者について、その不渡届に係る手形の交換日から起算して6か月以内の日を交換日とする手形に係る2回目の不渡届が提出されたときは、次の各号に掲げる場合を除き、取引停止処分に付するものとし、交換日から起算して営業日4日目にこれを取引停止報告に掲載して参加銀行へ通知する。
一 不渡届に対して異議申立が行われた場合
二 交換日の翌々営業日の営業時限(午後3時)までに第68条【不渡報告および取引停止処分の取消】第1項または第2項に規定する取消の請求があった場合
2 第62条【取引停止処分】第2項の取引停止処分日は、前項による通知を発した日とする。

6か月以内に2回の不渡りを出したら取引停止となるんですね。

不渡りとは振り出した手形が資金不足等により決済できないことをいいます。

これで倒産への道筋(こういう表現が妥当かは置いておいて)がわかりました。

ここまでの中で倒産を怖がらなければならないのは、

・手形を振り出していること
・手形を決済(支払う)だけのお金がないこと
・しかもそれが6か月以内に2回起きそうなこと

以上の場合ですね。

買掛金が支払えなくても、給与が支払えなくとも、「倒産」はしないんです。
会社に押しかけてきたり、従業員の退職が相次いだりすることはあるかもしれませんが。
「資金的に厳しい状態」と見られるだけです。
世間から倒産とは言われないので、続けたいと思えば続けられるわけです。

お金が続くかぎり・・・。

そう、お金、資金、キャッシュ。
これが枯渇すると世間から倒産と言われなくとも会社を継続することが難しくなります。
事実上の倒産状態ですね。

資金の枯渇、資金ショート。
斯様な事態が生じるのを防ぐことが倒産を避けるためのただ一つの方策です。

ではどうやって?

資金が足りなければキャッシュを増やす方策をとらねばなりません。
でも、「いつ」「いくら」足りないのかは資金繰り表が無ければ明確にはわかりません。わからなければ対応もできません。タイミングを逸すれば資金が枯渇し倒産してしまいます。資金繰り表は資金状況の把握に大変重要なものであることは容易にご理解いただけるものと思います。

さて、資金繰り表が倒産回避にいかに重要かご理解いただけたところで、また次回(少々前置きが長くなりましたが)資金繰り表についてお話していこうかと思います。

 

池田

倒産とは何ぞや(1)倒産の定義

「倒産を回避するためには資金繰り表が重要だ」という内容を書こうかと思ったのですが、その前にまず「倒産」の意味について知らないとお話しにならんな、ということで倒産について。

 

会社は赤字でも倒産しません。

しかし黒字でも倒産します。

黒字倒産という言葉を聞いたことがありませんか?

 

いくら黒字があっても会社は倒産するんです。

それはなぜかと言うと、赤字黒字ということと倒産することとは別のことだからですね。

 

倒産、倒産と言ってますが、そもそも倒産って何ぞや?ということをチェックしておかないと意味がわかりません。とうことで言葉の定義を確認しておきましょう。

 

倒産の本家、東京商工リサーチさんの説明がわかりやすいので引用しますと、

 

・・・「倒産」は正式な法律用語でなく、東京商工リサーチが1952年から「全国倒産動向」の集計を開始したことで一般に知られるようになった。特 に、1964年11月9日衆議院商工委員会で中小企業の倒産問題を東京商工リサーチの倒産データに基づいた国会質疑が行われ、「倒産」という言葉が普及し た。「倒産」とは、企業が債務の支払不能に陥ったり、経済活動を続けることが困難になった状態を指す。「法的倒産」と「私的倒産」の2つに大別され、「法 的倒産」では再建型の「会社更生法」と「民事再生法」、清算型の「破産」と「特別清算」に4分類される。「私的倒産」は、「銀行取引停止」と「内整理」に 分けられる。なお、倒産集計は負債総額1,000万円以上を対象とする。最近、「経営破綻」や「破綻」という表現が多く用いられている。これは再建型の倒 産でも会社がなくなるというイメージによるもので、経営に行き詰ったという意味では倒産と同じである。

 

ということです。

 

倒産の定義をまとめるとこんな感じ。

以下の申立て(法的倒産) 以下の状態(私的整理)
・会社更生法(再建型) ・銀行取引停止
・民事再生法(再建型) ・内整理
・破産(清算型)  
・特別清算(清算型)  

 

法的に、といった場合は何がしかの申請が絡んでますね。

普通、こういう申請は会社自ら選択してするもの(債権者に申し立てられる場合もありますが)です。なので、意に反して勝手に倒産しちゃった、ということにはなりません。

 

一方、私的な方はというと、具体的には銀行取引停止と内整理とあります。整理は自らス進めるものですので、意に反してどうこうということはありませんね。銀行取引停止、これは会社の状態のことをいいますので、意に反して倒産することがあるわけです。なので倒産といって注意しなければならないのは私的なものでも銀行取引停止、ということになります。

 

今回はここまで。

次回、銀行取引停止についてお話していきます。

 

池田

会社を継ぐ人が知っておいたほうがよいこと③

『有利子負債対キャッシュフロー倍率』

 

さて、いくら借りていて、いくら儲けているかがわかりましたので、ここで簡単な割り算をしてみましょう。

 

借入れ総額÷生み出したキャッシュ、はいくつになるでしょうか。

 

たとえば、1億円借入れがあって、生み出すキャッシュが1000万円ですと、

1億円/1000万円で10、10倍ですね。

 

これを有利子負債対キャッシュフロー倍率などといったりします。この倍率が1倍なら1年で返せる借入額、5倍なら5年、10倍なら10年ということになりますね。

 

1000万円というのは年あたりの額ですから、この10は10倍ということになります。

つまり、この会社にとって1億円とは10年で返済できる借入額だ、ということですね。

 

長期借入れの返済期間はかなり長くて10年、普通は5年~7年ですから、CF倍率が10倍とかですと、通常約定通りには返せないような財務状態にあると言えちゃいます。

言い換えれば、借りた当時の経営体力はすでにもうない、ということですね。

 

となるとかなり経営にテコ入れしなければならない状況かもしれません。

手許現金資金が薄ければ、倒産の目もありえます。

 

銀行から新規の融資も得られづらい状況です。

普通は貸してくれないでしょう。なので、新規の設備投資資金は自己資金で賄わなければならないかもしれません。自己資金が薄ければ、設備投資や開発のための資金が不足し、将来の事業投資がままならない状況となることが予想されます。

 

支払猶予や返済期間の延長等リスケジュールなども考慮しないといけない状況であれば、再生計画、経営改善計画なども作成せねばなりません。

 

財務諸表を知ることで、つまりは、連帯保証を引き継ぐリスクはそれ相応にある、ということがわかるわけですね。後を継ぐなら継ぐで、それを分かった上で継ぐ。

 

後を継ぐにはリスクを背負う覚悟が必要です。

そのリスクの大小、遠近は財務状況により様々です。

 

財務状態を知ることができれば、どのくらいの覚悟をしておかなければならないか、がわかります。また、継いだ後、何をしなければならないか、経営課題も明確に意識できるようになります。

 

後継者となる、またなることに悩まれている方は、決める前に会社の財務諸表を見てください。詳細に分析できる必要まではありませんが、ざっくりでも知ることができれば、のちのちの動きが変わってきます。

 

最低でも総借入額と儲け額は自分のためにも把握しておきましょう。

 

池田

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