経営コンサルタントコラム 2014年4月分

2014年4月25日 ABL~貸せないとこにも貸せる仕組みとその注意点

こんにちは、池田です。

 

先日、東京スタービジネスファイナンスさんと情報交換をしてきました。

担当の井村さんとはかれこれ10年近いお付き合いです。

 

この東京スタービジネスファイナンスさん、主要なサービスはもちろん融資(お金を貸すこと)なのですが、その貸し方が一風変わっています。

というのは、お金を貸すときの担保が不動産ではなく売掛金、なんですね。いわゆる売掛債権担保融資、です。略語でABL(エービーエル:Asset Based Lendingの略)ともいいますね。

 

不動産でもない売掛金がどうして担保になるのだ?という疑問が湧いたかた、鋭いです。

 

不動産は登記制度がありますから、担保に入れると担保付けましたよ、という表記が登記簿の乙区というところになされます。明確ですね。

実は売掛金にも登記することができる制度があるんです。

原則、売掛金を担保に入れるときは相手方(売掛金を払ってくれる人)への通知や同意が必要になります。

通知となると、売掛金まで担保に入れてお金借りるなんておたく大丈夫!?みたいな不安をお客様に与えてしまうことにもなりかねません。

それだとなかなか手が伸びないですね。

 

東京スタービジネスファイナンスさんは、そこでその解決策として、売掛債権を債権譲渡登記という方法を用いておられます。

これにより、売掛先に通知を出さずに売掛金を担保化することができるわけです。

ただ、登記なので誰でも見ようと思えば見ることができますので、積極的に与信情報と取ろうとしている先には気づかれる場合もあります。

 

担保に使えないのは、取引基本契約上、債権譲渡禁止の特約がある場合です。

そもそも譲渡ができないので、融資する側が売掛金を以て資金回収できません。

大企業との取引基本契約では大抵記載されていますので、この点は要注意です。

 

さて、このABL、金利はお高めながら、銀行では対応してくれないようなタイミングでも融資検討してくれるありがたいサービスです。

 

普通、銀行が対応してくれないとなると、次にお願いするのはノン・バンクさんです。ただ、ノン・バンクさんでは不動産担保を求められることが多いです。

つまり、不動産を持っていなければ、なかなか難しいということですね。大きい金額についてはほぼ不動産担保ローン的な商品だけです。

となると、不動産を持っていないか、あってもすでに担保がべったりとついているようなものしかない状況(こういう場合が多いですね)では、もう「借りる」という選択肢はなくなるわけです。

 

普通であればナイナイづくしの状況からの救世主的存在がABL、売掛債権担保融資なんです。

なので、再生の局面や起業時、業績が急伸しているタイミングなどで非常に重宝できるサービスです。

このABLのパイオニアが、東京スタービジネスファイナンスさんなんですね。

 

そこでこちらおっしゃる特長を4つ。

1.売掛先への通知・承諾は不要

2.代表者個人保証不要

3.決算内容よりも担保重視

4.中小企業のお取引先も評価

 

実際にどんな業種の方が利用されているかというと、いただいた資料を拝見するに卸売業、運送業多く他製造、印刷、広告出版、警備・人材派遣などが続くようです。

その内容は、リスケ中であったり、債務超過であったり、税金や社会保険料を滞納していたりと、なかなか大変な企業さんです。

やはり、先に言った通り、このような状況ではなかなか銀行さんが相手にしてくれないですから、ABLが最後の砦となっているんですね。

 

といっても、いいことばかりではありません。

 

使い勝手は良いものの、銀行よりは金利が高いのは事実。

どのくらいかというと大体年利10%程度です。銀行の金利が今時分、2%とかの世界ですから5倍の経費負担ですからなかなかです。

ただ、10%といってもあくまで年利です。6か月で完済すれば半分の額ですみます。利率という意味では変わりませんが、絶対額は小さくなるわけです。

例えば、仕入から製造するまでに2カ月、入金が納品締め後翌々末とすると3か月、1カ月余裕見てトータル6か月。半年あれば借入から返済までできますね。

 

実際に計算してみましょう。

 

1000万の契約ができて、粗利が25%、販管費が10%の負担とします。

仕入資金はすべて借入で賄ったとして、その金利は年10%、借入期間は半年。

 

とするとこうなりますね。

 

売上 1000万

原価 750万

粗利 250万

販管費 100万

営業利益 150万(15%)

支払利息 37.5万(750万×10%×6か月/12カ月)

経常利益 112.5万(11.3%)

 

販管費を賄えて、収支もプラスになりました。

 

手許資金が150万あったとして、お金の流れを時系列で見てみましょう。

 

借入時(入)750万 手持ち1000万

 ↓

仕入時(出)750万 手持ち150万

 ↓

販管支払時(出)150万 手持ち0万

 ↓

売上入金時(入)1000万 手持ち1000万

 ↓

返済時(出)元本750万 手持ち250万

   (出)金利37.5万 手持ち262.5万

 

うまく回せましたね。

 

 

では粗利が15%だったらどうでしょう?

この場合こうなりますね、

 

売上 1000万

原価 850万

粗利 150万

販管費150万

営業利益 0万

支払利息 50万

計 △50万

 

おっと、50万足りません。不足分は更に資金捻出しなければなりません。

これはいけませんね。やるだけ赤字です。

粗利が低いビジネスでは、金利負担が企業の生死を左右しかねません。

 

ABLも状況によっては非常に便利で使い勝手が良いものですが、あくまで「ご利用は計画的に」いたしましょう。

 

2014年4月16日 リスケ更新を断られるかも!?

経営者保証ガイドラインができ、返済猶予を大盤振る舞いする円滑化法の流れもそろそろ終わるかと睨んでいましたら、やはり、そのような流れのようです。

 

というのも、先日(3月19日)の日経に、

 

「中小企業の転廃業促す 金融庁、返済猶予から転換~地銀などに対応要請」

 

という記事が掲載されていました。

全文は権利の関係で掲載できませんが、

 

~金融庁は中小企業金融円滑化法に基づき返済猶予を受けてきた中小企業に対し、転廃業を促す方針に転換した。金融機関への立ち入り検査でこれまでは返済猶予を求めてきたが、無条件で返済を猶予するのではなく、金融機関が抜本的な企業再生に取り組むよう促す。~

 

という内容のものです。

 

無条件で猶予しないとありますね。

また、今後リスケ中に企業に対しては、

 

・早期の事業再生

・事業再編

・業態転換

・休廃業

 

を求めていくとも、書いてありました。

つまり、ざっくり言いますと、 「ちゃんとやってないところには、リスケの更新無しよ」 ということですね。

 

とはいえ、いきなり方向転換すると、ついてこれない人が大勢出て、社会問題など大事に発展してしまいますので、そろりそろりと、徐々に変わっていく感じかと思います。

 

しかしやはり、これまで再生計画さえ出せば(下手をするとそれも出さずに)、リスケ(返済猶予)を銀行が認めてくれていた状況からは、大変大きな転換です。

 

「元本猶予して様子見てみたけど、業績の回復が思うようでなければ(元本を返すまでにいたらないようであれば)支援終了、一括返済求めますよ」と変わる、ということですから、リスケを繰り返して、業績の回復もないままぬるぬるといける状況ではなくなるわけです。 

 

資産が負債を上回っている企業については、国の仲介で債務免除等行う仕組みを作るようですが、そもそもリスケしている企業は債務超過(資産<負債)であることが多いです。となるとそのような債務免除システムもオールマイティなセーフティネットというわけでもなさそうです。

 

更にいうと、メガバンクの収益状況がここ数年かなりよろしい。みずほと三井住友はこの3月期は過去最高益です。ということは、銀行が貸出を損切りしても問題ない状況・体制にもなってきているわけですね。

 

ただ、中小企業を応援せよ、というお上からのお達しはありますので、これをむやみにはできないと思いますが、ホンネからすると、「返済されないようなものは管理コストだけでも赤字なのだから切っちゃえ」という感じかと想像します。

 

しかも金融庁さんの中には「円滑化法からの流れは潰れるべき企業を生き残らせただけだ」という意見があるやに聞きます。

民主党時代から自民党に替わりました。自民党が暫くは強そうです。となると行政も亀井法案からの流れにいつまでも付き合っているとは思えません。

 

つまり、現在リスケ中の企業さんは、金融機関の立ち位置が、「再生可能な場合は抜本的な整理・再生策を打たねばならず、そうでない場合は廃業促す」、簡単にはリスケの更新を認めない流れである、ことはようよう理解されておいたほうがよろしい、今から準備されておいたほうがよろしい、ということです。

 

返済猶予で何とか資金繰りが回っているような企業さんは、金融機関がリスケに応じてくれなくなれば(そして何も手を打たねば)倒産します。

抜本的に解決(これはある意味、経営者責任を問われることにもなるのですが)しなければならないタイミングに来ていると考え、手を打つべきです。

 

リスケに応じてくれない⇒元本弁済できない⇒期限の利益喪失⇒口座や資産の差押⇒倒産 という単純なストーリーにはまらぬよう、準備をしっかりしておきましょう。

 

池田ビジネスコンサルティング

代表 池田輝之

 

2014年4月4日 表面的な課題と本質的な問題

私のような経営コンサルタントが企業再建や事業再生の依頼を受けて、まず始めにおこなうのが分析です。

 

事業がどのように成り立っているか、財務状態はどうなっているか、過去からの推移や現状をインタビューや各種資料によって把握します。

 

財務の情報は倒産を回避する上で欠かせないものですので、事業概要の理解ほどほどに、その詳細を分析することになります。

 

中でも一番大切なのは資金繰りで(どんなに黒字でもお金がなければ倒産してしまう)、資金計画がどうなっているか、資金繰り表があればそれを分析し、なければ一から作って、資金の入と出の状況を把握し、臨時に借入をしたり、リスケしたり手形をジャンプしたり等々対策を練り、講じます。

 

財務分析の手法は、決算書や試算表など財務データから、収益性や生産性、安全性について経営指標などを使っていく方法が一般的です。ちなみに、私は約38種類の経営指標を用いて、当該企業の財務状況を判断しています。

 

いろいろ分析していきますと、ここが悪い、ここは直した方が良い、これは無理だ、などという問題点、課題が見えてきます。

そして、その改善策もたいていはすぐにイメージできます。資金繰りの調整程度の軽い物から、オーダーメイドのウルトラC的な再生スキーム物まで、その課題に応じた対応、対処策がパパッと頭の中に思い浮かんできます。

 

コンサルタントとしては、各状況に応じて最適なものをチョイスし、提案し、実行のお手伝いをし、倒産を回避、会社・事業を潰さない方向に向かわせます。

 

しかし、それはあくまで表面に浮き上がってきた課題に対する対処策でしかありません。 真に対処すべき課題は、そのような対処策が必要になった状況がなぜ形成されてしまったのか、という本質的なところです。そうでないと、解決した問題もまた再発してきます。企業体質的な課題ですね。

 

走り方が悪いからケガしたところ、そのケガを直しただけで走り方を変えなければまたケガをするのと同じです。

 

経営者としてやらなくてはならないのは、なぜそうなったのか、という本質的、核心的な課題への対峙です。走り方の何がまずく、問題で、なぜそのような走り方になるのか、自分を知って、変えなきゃダメなわけです。

それには第三者たる他人の意見も取り入れねば自分だけではなかなか客観的な判断ができない。なので世の中に経営コンサルタントなんて職業があるわけですね。

 

とはいえ、人は元来保守的な生き物。なかなか変化は受け入れられません。

 

ゆでガエルの逸話はご存じですか? 熱いお湯にカエルを入れると、熱いっ!といって逃げ出しますが、ぬるい水にカエルを入れてると居心地が良いのか、逃げません。そこから温度を更に上げて熱湯に近づけても気持ち良さが忘れられず、ついにはゆで上がってしまう、というお話です。

 

本質的な、いわゆる、根っこの問題は見えにくく、その問題解決は容易いことではありません。大抵の場合は人の意識の問題ですので、時間も手間もかかります。しかも変化がわかりづらいので継続していくことがむずかしいというおまけつきです。

 

これは会社の“クセ”を直すようなものです。 クセは簡単に治りません。簡単に治ったクセはすぐに元に戻りがちです。

 

第二会社方式だの会社分割だの民事再生だのいろいろ再生手法はありますが、すべて一時しのぎです。一時しのぎも必要なときはありますが、なぜそういう状況になったのか、というところにしっかりと目を向けないと、同じことの繰り返しになります。

それは、経営者皆さん、従業員皆さんがまた同じ苦しみを味わうことを意味します。

 

派手な目くらまし(再生スキームやテクニック)は目や耳に優しいものです。根本原因を見つめるのは苦しいものです。しかし、これはやらねばなりません。

 

表面的な課題への対処ももちろん大切ですが、本質的な問題に背を向けず、この改善に取り組むことが真の意味での再生、再建に繋がるのです。

 

池田輝之

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