経営コンサルタントコラム 2014年5月分

2014年5月20日 融資先選別の流れは止まらない。

こんにちは、池田です。

前回のコラムからだいぶご無沙汰になりました。

 

さて、今回のコラムはお金の貸し借りに関する世の流れと気を付けるポイントについてお話したいと思います。

 

5月20日付の日本経済新聞に「中小融資の保証縮小政府検討、全額から原則8割に」という記事がありました。ご覧になられた方もいらっしゃることでしょう。

 

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中小融資の保証縮小 政府検討、全額から原則8割に 

2014/5/20 2:05日本経済新聞 電子版

 

政府は中小企業の融資が焦げ付いた場合に国などが肩代わりする公的信用保証を、段階的

に縮小する検討に入った。2008年秋のリーマン・ショック後に特例として認めた全額保証

を縮小するのが柱で、約100業種を対象に保証率を危機前の原則だった8割に戻すことを

議論する。一部業種は保証率を8割からさらに下げる案もある。信用保証は財政収支が

悪化しており、国と民間の負担割合を見直す。

 

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これまでリーマンショックの影響をカバーするため、国策として一部業種については保証率を100%としてきたわけですが、これを原則の8割に戻す、というお話です。

 

表向き金融機関の目利き力、経営支援を促すなどと大臣は仰ってますが、真のところは財政収支の悪化が理由なのでしょう。

 

何せ12年度は3500億円の収支赤字だそうです。

つまり、返せなくなったところがたくさんあるということですね。

 

保証協会は金融機関の貸し出しについて、お金を借りる人から保証料をとって保証をします。借りた人が返せなくなったら、保証料から返済を肩代わりするわけです。

 

話は少々それますが、この3500億円、本来であれば金融機関がとるべきリスクですよね。返済されないリスクを取り、その結果リターンとしての金利を得るわけですから。ちゃんと審査して貸せるかどうかの判断は自分でしてね、というのが本来。

 

とはいえ、そう原則論をぶっても、民間企業である銀行が返済が確実でない会社にお金を

貸せません。適当にお金を貸して回収できず潰れてしまって困るのは預金者です。なにせ人の預かって運用しているのが銀行です。安全確実でないとお金は貸せません。

 

ついては、市場に任せていてもお金が回らないので、国の肝入りで保証し、中小企業にも

融資がされる仕組みを作った、というわけです。

 

とはいえ、やはりというか、景気が悪いので返せなくなる先も多く出る。集めた保証料だけでは回らないんですね。足らずは国が補てんすることになりますが、それが3500億円。

 

財務省からすればなんとかしたい。元に戻したい。赤字の原因を解消したい。

アベノミクスで景況感も回復してきたし、自民党は暫く安泰だし、やるなら「今でしょう」

というところなのでしょう。

 

100%保証なら貸す側は取りっぱぐれが無いですから、余程でなければ貸せますよね。やり得です。最終的に国が保証してくれるんですから。

 

これが原則にもどるわけです。保証率は80%。2割は金融機関がリスクを負います。

つまりはです、銀行は簡単に貸さなくなる、ということですね。

 

景気が良くなるまでは無理にでもお金を流し、良くなってきたら締める。これ道理。

しかし良くなってきた、の判断は中小企業個別の事情に配慮されるわけではありません。

乗り遅れた企業は荒波に翻弄されることになります。

 

さらには、この2月から施行された、連帯保証に対する新たな取組みも何がしか影響を与えていくでしょう。新しい取り組みは、一面的には連帯保証を求めない、起業を促す効果があるやに見えますが、一方では、簡単に貸せなくなるという側面も秘めています。

 

また、実質返済するのが不可能な融資先については、転廃業を促す云々の話も、霞ヶ関周辺

から頻繁にアナウンスされています。近い将来、債権者である銀行に、再生できると思われないと、転廃業が待ってます。

 

ではどういう場合に再生できると思われるでしょうか。

 

いろいろ要素はありますが、その一つとして最低でも20年以内(理想は10年)に借入を

完済できる計画が立つか、です。

 

計画ですから、要はちゃんと考えなきゃだめだ、ということです。

「売上がどうなるかなんて分からないよ、確実に売れるかどうかなんか分からないじゃん」

と思った方、思うだけにしておきましょう。決して口に出してはいけません。

 

どうなるか分からないから計画を立て、行動するわけです。本質的に。それをブン投げちゃうと「転廃業」組まっしぐらです。銀行さんはそう考えます。気をつけましょう。

 

今、銀行は業績のよい中小企業にプロパー(保証協会無し)で貸します、貸します、と積極的に営業されているようです。保証付だから貸します、ということは積極的にやっていないように感じます。

 

また、保証付でないと貸せないような先と、そんなものがなくても貸したい先とを既に選別し始めているように見えます。

 

運転資金を融資に頼っている会社は、借りられなくなると潰れます。黒字でも潰れます。

景気回復初期は一番倒産が増加する傾向があります。

 

勘定合って銭足らず、黒字倒産に陥らぬよう、自社の資金管理、キャッシュフローを今一度分析されてみてはいかがでしょうか。

 

池田

 

 

以下記事まとめ

・具体策は秋以降に詰め、15年から段階的に縮小したい考え。

・信用保証は都道府県などにある信用保証協会が中小企業から保証料をとり、それを元手として融資が焦げ付いた場合に返済を肩代わりする仕組み。

・信用保証協会が肩代わりした額は徴収した保証料を上回る状態が続き、12年度は3500億円の収支赤字だった。赤字分は国が財政支援している。

・信用保証の収支悪化が深刻なため、政府は業種によっては公的保証を原則の8割から引き下げることも検討する。

・足元では金融機関の収益は改善しており、貸出先の焦げ付きに備えて過去に積んだ貸倒引当金も不要となるほど。

・財務省はこうした財政支出を適切な水準に抑えたい考え。

・中小企業庁などは信用保証を縮小すればリスクを回避する金融機関が中小企業への融資を減らしかねないと懸念しているが、中小企業の債権を買い取る官民ファンドなどを育て、転廃業を円滑に進めたい考え。

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