経営コンサルタントコラム 2014年8月分

黒字の理由(わけ)を探る(2)

■売上原価のトリック

 

さて、前回粗利の話がでてきましたので、ここで粗利益について少々掘り下げてみます。

粗利が赤字ということは通常あまりありません。(というか、あってはいけない。)普通、一般的に粗利は黒字です。

粗利が赤字ということは、やればやるほど損をする ということです。改善の見込みがなければ、会社をたたむことが最善の方策になるほどの状況ですから普通ではありません。

 

なので、粗利については、どちらかと言えば、必要な販管費に足りているか否か、つまりは営業黒字になるために必要な粗利額が確保できているか、が課題になるところです。

 

粗利額を分解すれば、その内容は売上と原価です。

粗利があるということは、売上>原価という関係ですから、売上の内容や原価の内容を掘り下げれば粗利プラスの理由が把握できます。

 

売上内容は、何が誰にどれだけ売れたかということなので、個別の売上伝票等がデータ化されていれば簡単に把握できるでしょう。

 

 

売上原価については、もうちょっと分解が必要です。

というのも、売上原価は単に仕入れたコストのことではないからです。

 

売上原価は、 期首商品棚卸残高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高=売上原価 という計算方法で算出します。

 

例えば、期首に100の在庫があって、当期に1200仕入れて、期末に100在庫があったら 、売上原価は、 期首在庫100+期中仕入1200-期末在庫100=1200(売上原価) となります。売上が1500なら300の粗利益ですね。 ちなみにこれだと粗利率は20%で原価率は80%。

 

一方、売り切れなくて期末に在庫が200となった場合の売上原価は1100。 粗利益は400となります。原価率は73%で粗利率は27%。

 

もう気づかれましたか? 実は在庫が多い方が粗利益が多くなるんです!

当然、営業利益も多くなります。 売り切れなくて在庫が膨らんだほうが利益が出、事業が好調のように見えます。 経営指標もいい具合です。

 

黒字なので、試算表を報告されたら「よくやった」などと言っちゃいそうです。

 

しかし、在庫が多くあるということは、使ったお金が眠っているということです。 不良在庫になればお金をどぶに捨てることになります。 マイナスを棚上げしているだけなので、後になって大きな損が生ずることになります 。

 

期末在庫200がすべて不良在庫になり廃棄処分となったとしましょう。 廃棄には50の費用がかかりました。

 

期首在庫100+期中仕入1200-0(在庫なし)=1300(売上原価)

 

売上高が1500ですから200の粗利益です。原価率は87%。粗利率は13%。

販管費は一般に売上の20%程度ですから、営業利益は赤字に転落です。

廃棄コストもプラスの費用としてかかってきますので更に赤字幅が増大します。

 

このように期末在庫を増えるか減るか(恣意的にいえば増やすか減らすか)で、利益を上げたり下げたりできるわけです。

売上が増加していないのにもかかわらず、粗利益が増加していれば、コスト改善が進んだか、在庫が増えたかのいずれか、ということになります。

在庫の量は、貸借対照表で確認できます。貸借対照表はその時点の資産と負債を記載したものです。 損益を見て粗利益が増加していてもすぐには安心せず、在庫の量が増えていないか、 貸借対照表も確認しておかないといけませんね。

 

話はそれますが、在庫をいかに減らすか、が今いまの経営のポイントです。言い換えれば、限りあるお金を如何に寝かさず、有効に活用するか、ということですね。 ただし、在庫を減らせば、一時的に売上原価が上昇し、利益圧縮要因になってしまいます。取引のある銀行には丁寧な説明が必要でしょう。

また、在庫圧縮を進めると、 顧客からの注文に迅速に応ずることができなくなり、商機を逸してしまう可能性も高まります。このバランスが難しいところですね。

 

さて、黒字とは?というところから売上原価まで見てきたわけですが、いかがでしたでしょうか。赤字の理由を探ることは目につきやすく、ほとんどの経営者の方がなされるところでしょう。しかし、黒字の理由を探ることはそうないはずです。

 

述べてきましたように黒字にはよい理由だけでなく悪い理由もあります。 損益の字面を追うだけでなく、その裏にあることも考えていただけると、倒産の危険を避けることが可能となりますので、ぜひ数字の「カン」を磨いていただいて、事業運営に生かしていただければと思います。

 

池田

黒字の理由(わけ)を探る(1)

■黒字とは?

 

原則、黒字はいいことです。

しかし、「良い」と判断するには、この黒字がどうやっ てできているか、そもそも黒字とはどういうものかを知っておく必要があります。( 黒字でも倒産する場合があるのはご存知の通り。黒字だからって安心はできないのです。)

 

黒字というのは一般的に、収益から費用を引いた数字がプラスである(利益が出ている)ことを言います。

 

収益-費用>±0

 

ということですね。

 

収益は、売上高の他に家賃収入などの営業外の収入や株の売却益など一時的なものも含まれます。費用とは、交通費や給料、仕入の代金や支払っている利息など事業運営上必要な経費が思い浮かびます。

 

収益から費用を引いたものがプラスなら黒字(利益が出ている)ということですから、

 

収益の全部-費用の全部>±0

収益の全部-費用の全部=税引前当期利益

∴税引前当期利益>±0

 

となります。ちなみに、この後に控えているのは税金です。法人税等。

法人税等は税引前当期利益に対し約4割掛かります。税コストですね。

こちらを引くと、税引き後当期利益が算出できます。

ちなみに、各業界ごとの税引き後当期利益平均値は、売上パーセントでいうと、

 

 

建設業          -0.1%

製造業           0.9%

情報通信業         1.8%

運輸業           1.1%

卸売業           0.6%

小売業           0.3%

不動産・物品賃貸業     1.9%

専門・技術サービス業    0.7%

宿泊・飲食サービス業   -0.8%

生活関連サービス・娯楽業  0.6%

その他サービス業      1.4%

(出典:同友館「中小企業実態基本調査に基づく経営原価指標24年発行」)

 

と、このようになっています。

 

 

■黒字の理由を探る

 

しかし、費用まるめてどーんと引いて黒字や赤字といわれてもなぜ黒字なのか、赤字 なのか理由がわかりません。そこで使われるのが損益計算書です。こちらは損益の状況を記載したものです。

 

損益計算書は、費用をその種類によって分類し、売上から順繰りに引いていくという 構造となっています。簡単に言うと、

 

売上高から原価を引けば粗利が出て、

粗利から販管費を引けば営業利益が出る。

営業利益に営業外の収益を足して費用を引けば経常利益、

経常利益に特別利益を足して費用を引けば税引前当期利益

税金を引けば税引後~が出ることになります。

 

売上高を1,000として、この構造で計算すると以下のようになります。

【損益計算書の構造】   

  売上高       1,000

-)売上原価       750

= 売上総利益(粗利)  250

-)販管費        150

= 営業利益       100

+)営業外収益       10

-)営業外費用       30

= 経常利益        60

+)特別利益        10

-)特別損失        10

= 税引前当期利益     60

-)法人税等        24

= 税引後当期利益     36

 

粗利、営業利益、経常利益、税引き前・後当期利益と黒字赤字が判断できる5つの利益があるわけです。 ついては、それぞれの利益でプラスかマイナスか判断ができることになります。 つまり、それぞれの利益はどのようなものなのか、利益の属性により、黒字赤字の要 因がつかめることになるわけです。

 

それぞれの利益の特徴・属性はというと、 粗利は、売上から原価を引いたもので、販管費を引く前のもの。 営業利益は、粗利から販管費を引いたまさに営業での利益を表すもの。 経常利益は、営業利益から営業外の損益を足し引きしたもので、事業全体の通常な利益を表わすもの。 税引前当期利益は、経常利益から通常でない一時的な損益を足し引きしたもの、となっています。

 

たとえば、営業利益が黒字なら、粗利が大きいか販管費が少ないか、またその両方かと いう3つの見立てができるわけです。

 

少々長くなりましたので、続きはまた次回。

次回は売上原価のトリックについてお話します。

 

池田

 

2014年8月5日 コンサルタントの選び方

「ここはもう外部のコンサルタントさんなどに頼まざるを得ないか・・・」

という状況になったとします。

とはいえ、知り合いのコンサルタントがいるような経営者さんは少ないものです。

となると、頼むと決めたはいいものの、どうやって探すか、どうやって選ぶか、不明のまま途方に暮れる、という状況に陥りがちです。

 

そもそも経営コンサルタントは公的な資格ではありません。

名乗ろうと思えば誰でもいつでもその日から名乗れる肩書きです。

ついては、その実力・能力も上から下まで、右から左まで千差万別、多種多様となります。

 

高い能力でどんなことも解決してしまうような素晴らしいコンサルさんもいれば、そうでない人もいます。中には詐欺師みたいな人もいます。

自称経営コンサルタントと かいう悪い奴がよく捕まってニュースに出てますよね。脱税指南とか。最低限、こう いう輩に嵌らないようにしなければなりません。

 

ではどうやって選べばよいのか。

 

「何をしてもらいたいのか」 が決まっている人は簡単です。

 

社内研修の講師をお願いしたいのであれば、セミナーや講習を中心に活躍されている コンサルタントさんを選べば良いですし、逆に実務的な経理とか労務とかに依頼の中心があるならば、それぞれを得意としているコンサルを選ぶことになります。

セミナーを中心としているようなコンサルさんに実務的なことを頼んでも成果を導き出すのは難しいでしょうし、実務的なことが得意でも人前でしゃべるのは苦手、という人も多いので注意が必要です。

 

営業支援をお願いしたい場合、営業の仕方をセミナーなどで教えてもらいたいのか、 営業先を紹介してもらいたいのかで頼む先は変わってきます。

前者であればセミナー 講師中心のコンサルさんでしょうし、後者となれば、若い人よりも、人脈豊富な55歳 ~60歳前半くらいの方が選考対象となるでしょう。

 

また、経営全般を広い視野、高い視点でとらえて意見を欲しい、というようなニーズ であれば経営コンサルタントの出番となるでしょう。

この分野は扱ってきた案件数からの高い経験値と地頭の良さが必要とされる、というのが一般的な認識です。初めて会ったときに「おっすごい、この人わかってる。コンサル受けてみたい。」と思えないような人には頼まないのが無難です。ちなみに料金も高めです。

 

節税対策、となれば普通は税理士さんですよね。あるいはすごい裏ワザを持ってらっしゃるようなスーパーな方か。

 

依頼内容が決まっていれば、後はそれを得意としている人をインターネット等で探し (いまどきインターネット上で見つけることができないようなコンサルタントはそもそも微妙)、キャリアやコラムなどをよく見て吟味した上で会ってみる、ということになります。比較的容易に適切なコンサルタントを見つけることができるかと思います。

 

知り合いから紹介してもらう、という方法もありますが、そもそもその知り合いさん 自体もコンサルを選別する能力があるとは限らず、また、一度紹介を受けると知人の手前断りづらい側面もあり、余程自力で見つけられない場合はあまりお勧めできません。知り合いの方自体が選別の目を持ってらっしゃる場合はこの限りではありませんが。

 

一方、「会社として問題があるのはわかっているが、具体的に何が問題なのかはわからない 」 という場合も多くあります。

 

自分で経営していてそんなことあるのか!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、実を言うとほとんどの相談者さんがこのパターンです。

「会社を再建したいのだが。。アドバイスをもらえないか」 という相談だとすればわかり易い話でしょう。

 

何が原因かわからないからコンサルタントに頼む、という場合です。

お医者さんに診てもらうにも普通、最初から原因はわからないものです。 いきなり膵臓が痛い。。などと言う人はいないでしょう。

 

さて、こういった場合はいろいろな要因を理解しているコンサルさんに相談しないといけません。 この段階でいきなり弁護士さんに相談などしてしまっても弁護士さんは法律の専門家 であって経営の専門ではないので、ちんぷんかんぷんなことになってしまいがちです 。中には経営にも詳しい先生はいますが。

普通は法手続きの話(破産とか)をされ、 相談して安心したかったのに、逆に青くなって帰る、というパターンに陥りがちです 。

 

このような相談内容の場合、コンサルタントに求められるものとしては、まず、数字がわからないと始まりません。会社が潰れるも何も、基本的にはお金の問題だからです。

 

ですので、財務諸表を読めるのは勿論、その内容を理解し、そこから課題を発見できるくらいの知識と経験は、最低限持っておかなければなりません。

また、その課題を解決するに対する具体的なアプローチ方法の選択にあたっては、法 律や金融の知識と経験が多く求められます。 これが抜けていると「こういう課題があると思うけど、それにはこういう解決方法が あるんじゃないか?」という提案が的外れなものになってしまいます。

 

各分野の専門家という程の際立った専門性は要らないけれども、広い範囲にわたって 、それぞれの分野を理解できていないとダメ、ということになります。 つまり「見立て」ができないといけないわけで、町のお医者さん的な立ち位置と似ています。本当に大変な手術などは大学病院の設備を使って専門家がやればいいわけですから。

 

しかし、この「見立て」が違うと、見当違いの解決策を実行することになってしまい 、下手をすると失敗して会社は倒産、などという最悪の事態も引き起こしてしまいます。

見立てのできるできないは、知識と経験の量に左右されます。 若くても数をこなしてきた人は間違いが少ないですし、年齢が上の方でも経験数が少 ないとダメです。失敗経験、成功経験両方とも一定量のものが無いと、判断が偏りが ちで正しいジャッジがしにくいものです。

 

これまでスキル的な点を中心にお話してきましたが、コンサルタントを選ぶにあたっ ては、私が思うに他に2つ、合わせて3つのポイントがあるかと思います。

 

まとめますと、

一、(スキル)は足りてるか

二、(性格)は誠実か

三、(料金)は適正かつ負担可能か

 

コンサルタントをしている私がコンサルタントを選ぶとしたら、上記3点が選択基準 になります。腕が確かで、きちんと仕事をしてくれて、お値段払えるなら決まりです 。

 

スキルが足りているか否かの判断を間違いなく行うことは正直、難しいと思います。 出来る限りミスマッチを防ぐとすれば、そのコンサルタントが発信しているコラムや メルマガなどをじっくり読んでみることです。

ある程度嵩のある文章を読めば、書いたコンサルさんの得意分野や志などを掴めると思います。

 

私も紹介をいただくこともあるので何ともいいづらいところはあるのですが、できれば、まずは自力でお探しになられて、そのコンサルさんがどういう考えで、スキルをもってコンサルティングしているのかをじっくりチェックされるのが、間違いを無くす一番の手立てではないかな、と思います。

 

コンサルタントをお探しの方が、良いコンサルとめぐりあって、課題を解決し、より良い会社を築かれていくことを願ってやみません。

くれぐれも怪しい輩にはひっかからないよう、気を付けてくださいね。

 

それでは、暑さ厳しい折、お身体ご自愛の程。

 

池田

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