経営コンサルタントコラム 2013年7月2日号

会社を継ぐ人が知っておいたほうが良いこと(3)

『有利子負債対キャッシュフロー倍率』

 

さて、いくら借りていて、いくら儲けているかがわかりましたので、ここで簡単な割り算をしてみましょう。

 

借入れ総額÷生み出したキャッシュ、はいくつになるでしょうか。

 

たとえば、1億円借入れがあって、生み出すキャッシュが1000万円ですと、

1億円/1000万円で10、10倍ですね。

 

これを有利子負債対キャッシュフロー倍率などといったりします。この倍率が1倍なら1年で返せる借入額、5倍なら5年、10倍なら10年ということになりますね。

 

1000万円というのは年あたりの額ですから、この10は10倍ということになります。

つまり、この会社にとって1億円とは10年で返済できる借入額だ、ということですね。

 

長期借入れの返済期間はかなり長くて10年、普通は5年~7年ですから、CF倍率が10倍とかですと、通常約定通りには返せないような財務状態にあると言えちゃいます。

言い換えれば、借りた当時の経営体力はすでにもうない、ということですね。

 

となるとかなり経営にテコ入れしなければならない状況かもしれません。

手許現金資金が薄ければ、倒産の目もありえます。

 

銀行から新規の融資も得られづらい状況です。

普通は貸してくれないでしょう。なので、新規の設備投資資金は自己資金で賄わなければならないかもしれません。自己資金が薄ければ、設備投資や開発のための資金が不足し、将来の事業投資がままならない状況となることが予想されます。

 

支払猶予や返済期間の延長等リスケジュールなども考慮しないといけない状況であれば、再生計画、経営改善計画なども作成せねばなりません。

 

財務諸表を知ることで、つまりは、連帯保証を引き継ぐリスクはそれ相応にある、ということがわかるわけですね。後を継ぐなら継ぐで、それを分かった上で継ぐ。

 

後を継ぐにはリスクを背負う覚悟が必要です。

そのリスクの大小、遠近は財務状況により様々です。

 

財務状態を知ることができれば、どのくらいの覚悟をしておかなければならないか、がわかります。また、継いだ後、何をしなければならないか、経営課題も明確に意識できるようになります。

 

後継者となる、またなることに悩まれている方は、決める前に会社の財務諸表を見てください。詳細に分析できる必要まではありませんが、ざっくりでも知ることができれば、のちのちの動きが変わってきます。

 

最低でも総借入額と儲け額は自分のためにも把握しておきましょう。

 

池田

 

 

 

 

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