経営コンサルタントコラム 2014年12月2日号

PDCAと企業文化

■PDCAとは


PDCAを大切に、PDCAの徹底、などと聞いたことありませんか?

PDCAは業務管理、事業管理において、とても基本的なことです。

ビジネスに関係している方でPDCAを知らない方は少ないでしょう。

今回はいまさらながらではありますがPDCAのお話を少々。


PDCA(ピーディーシーエー)とは、

・PLAN(プラン)

・DO(ドゥ)

・CHECK(チェック)

・ACT(アクト)

のそれぞれの頭文字、P・D・C・Aをとったもので、正式にはPlan-Do-Check-Act cycle(プラン-ドゥ-チェック-アクト サイクル)といいます。

PDCAサイクルは業務改善への思考様式、手法のひとつです。


それぞれを見ていきますと、まず、Pとはプラン、計画のことです。

事業や業務の計画は、過去の実績や将来の予測から立てますね。

Dとはドゥ、実行のことです。立てた計画を実施することです。

Cはチェック、評価・点検を意味します。計画に基づいて実施した結果がどうか、を評価、チェックします。

Aとはアクト、つまり、チェックした結果を踏まえた改善策の実施、処置です。


つまり、


考えて→やってみて→チェックして→修正して→考えて→・・・


この繰り返しがPDCAサイクルです。

PDCAサイクルを連続して回転させていくと、上昇のスパイラルで改善が進んでいくことになります。


別の言い方をすると、仮説を立て、検証し、次の計画に反映する、という科学的方法のプロセス※のひとつがPDCAサイクルだ、とも言えるかもしれません。


※科学的方法のプロセスとは、物事を調査し、結果を整理し、新たな知見を導き出し、知見の正しさを立証するまでの手続きであり、かつそれがある一定の基準を満たしているもののこと。


PDCAサイクルなどというと(なんとも訳知り風な)仰々しい言い方ですが、内容的には至極当り前のことです。



■PDCAと企業文化


どうすればもっとうまくできるか、いいものができるかを思考錯誤するプロセスそのものですから、改善の精神がある人ならば考えもせず、自然とやっていることです。


ですが、実のところを言うと、PDCAが普通にできている会社さんは珍しいです。

向上心がある人は自然にできることなのですが、なぜかできていません。

というのは、事業が保守的なビジネスをされていると、あまり向上心がなくても生きていくことができるんですね。


むしろ、余計なことは考えるな、という企業文化、カルチャーであったりもしますから、何かすべきことを発見して、やってみて、なんていう行動は阻害されてしまいます。


大手企業の下請けを主にビジネスをされている会社さんは、とかくこのような思考になりがちです。

いざ売上が萎んできて、新しい分野へ行かねばならぬ、というときに足を引っ張られることになりかねません。


つまり、斯様な企業さんですと、PDCAサイクルを取り入れ、徹底することは、その企業の文化を変える、ということでもあるんですね。


PDCAサイクルはもっと、もっと、頑張れ、頑張れと上昇していくスパイラルですから、間違いなく前向きなポジションになります。保守的で、今のままでよい、という考えとは真逆に位置します。


現状で満足しているとPはできません。

進歩的で、もっと上、という前向きな向上心、なにかできないかという好奇心が、PDCAサイクルの実践には必須なのです。


中小企業では、企業=経営者ですから、企業の意識を変えることは即ち、経営者が意識を変える、ということでもあります。


PDCAの実践にもうひとつ、大切なものがあります。

それは失敗を許容できる組織であるかどうか、ということです。


どんなプラン・計画も100%完璧なものはありません。

ついては、チェックをすれば何がしかの修正点が現れます。


しかし、修正が必要=誤り、間違い、失敗と短絡的に結び付けられ、糾弾されるような企業文化では、修正すべきところも指摘できず、修正されないことになってしまいます。


あるいは、絶対に失敗しないような計画を立てるようになり、そもそも改善の上昇スパイラルが起こらない(=現状維持)ことになります。

減点主義、官僚的組織で改善をすすめることは難しいわけです。

チャレンジしない企業に未来はありません。



■PDCAなくして進歩なし


企業は俗にヒト・モノ・カネの三位一体だといいます。

PDCAサイクルもヒト・モノ・カネそれぞれ各懸案すべてに適用させていくことができます。


例えばヒトということでしたら、教育制度の在り方について、プランし、実行し、評価・修正していく。また、営業計画を作り、動き、うまくいかなければ修正していく。

モノは技術や製品ですから、何をすべきかの計画から効率性の追求まで、まさに改善の一丁目一番地。

カネも調達からキャッシュフローの管理までプラン・ドゥ・チェック・アクトです。


PDCAサイクルを回す不断の努力が、個別の改善を生み、全体として企業価値を高めていくわけです。逆に言えば、PDCAなくして企業の進歩はありません。

PDCAサイクルを徹底できない企業は時代の変化に対応できず、波にのまれることになるでしょう。


もしあなたの会社でPDCAサイクルが徹底されていないのならば、できていないことについてプラン・ドゥ・チェック・アクト サイクルを回してみませんか?

きっと新たな発見があるはずです。



池田


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