経営コンサルタントコラム 2014年4月4日号

問題の本質に対峙しよう

私のような経営コンサルタントが企業再建や事業再生の依頼を受けて、まず始めにおこなうのが分析です。事業がどのように成り立っているか、財務状態はどうなっているか、過去からの推移や現状をインタビューや各種資料によって把握します。

 

財務の情報は倒産を回避する上で欠かせないものですので、事業概要の理解ほどほどに、その詳細を分析することになります。

 

中でも一番大切なのは資金繰りで(どんなに黒字でもお金がなければ倒産してしまう)、資金計画がどうなっているか、資金繰り表があればそれを分析し、なければ一から作って、資金の入と出の状況を把握し、臨時に借入をしたり、リスケしたり手形をジャンプしたり等々対策を練り、講じます。

 

財務分析の手法は、決算書や試算表など財務データから、収益性や生産性、安全性について経営指標などを使っていく方法が一般的です。ちなみに、私は約38種類の経営指標を用いて、当該企業の財務状況を判断しています。

 

いろいろ分析していきますと、ここが悪い、ここは直した方が良い、これは無理だ、などという問題点、課題が見えてきます。

 

そして、その改善策もたいていはすぐにイメージできます。資金繰りの調整程度の軽い物から、オーダーメイドのウルトラC的な再生スキーム物まで、その問題に応じた対応、対処策がパパッと頭の中に思い浮かんできます。

 

コンサルタントとしては、各状況に応じて最適なものをチョイスし、提案し、実行のお手伝いをし、倒産を回避、会社・事業を潰さない方向に向かわせます。

 

しかし、それはあくまで表面に浮き上がってきた問題に対する対処策でしかありません。 真に対処すべきは、そのような対処策が必要になった状況がなぜ形成されてしまったのか、という本質的なところです。そうでないと、解決した問題もまた再発してきます。企業体質的なところですね。

 

走り方が悪いからケガしたところ、そのケガを直しただけで走り方を変えなければまたケガをするのと同じです。

 

経営者としてやらなくてはならないのは、なぜそうなったのか、という本質的、核心的な問題への対峙です。走り方の何がまずく、問題で、なぜそのような走り方になるのか、自分を知って、変えなきゃダメなわけです。

 

それには第三者たる他人の意見も取り入れねば自分だけではなかなか客観的な判断ができない。なので世の中に経営コンサルタントなんて職業があるわけですね。

 

とはいえ、人は元来保守的な生き物。なかなか変化は受け入れられません。

 

ゆでガエルの逸話はご存じですか? 熱いお湯にカエルを入れると、熱いっ!といって逃げ出しますが、ぬるい水にカエルを入れてると居心地が良いのか、逃げません。そこから温度を更に上げて熱湯に近づけても気持ち良さが忘れられず、ついにはゆで上がってしまう、というお話です。

 

本質的な、いわゆる、根っこの問題は見えにくく、その問題解決は容易いことではありません。大抵の場合は人の意識の問題ですので、時間も手間もかかります。しかも変化がわかりづらいので継続していくことがむずかしいというおまけつきです。

 

これは会社の“クセ”を直すようなものです。 クセは簡単に治りません。簡単に治ったクセはすぐに元に戻りがちです。

 

 第二会社方式だの会社分割だの民事再生だのいろいろ再生手法はありますが、すべて一時しのぎです。一時しのぎも必要なときはありますが、なぜそういう状況になったのか、というところにしっかりと目を向けないと、同じことの繰り返しになります。

それは、経営者皆さん、従業員皆さんがまた同じ苦しみを味わうことを意味します。

 

派手な目くらまし(再生スキームやテクニック)は目や耳に優しいものです。根本原因を見つめるのは苦しいものです。しかし、これはやらねばなりません。

 

表面的な問題への対処ももちろん大切ですが、本質に背を向けず、この改善に取り組むことが真の意味での再生、再建に繋がるのです。

 

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問題解決画像池田輝之

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