経営コンサルタントコラム 2014年1月10日号

経営者保証に関するガイドラインについて(2)監督指針と金融検査マニュアルの変更点

池田です。

今回は文字数的に若干ボリュームがありますが、少々お付き合いのほど。

 

まず始めにご紹介するのは、監督指針に記載されている、このガイドラインに沿うよう変更する意義、なんのためにガイドラインに沿って変更したのか、というところから。これを読めばガイドライン自体の意義もわかりことになりますので、一挙両得です。

 

III-9―1 意義

中小企業・小規模事業者等(以下「中小企業」という。)の経営者による個人保証(以下「経営者保証」という。)には、中小企業の経営への規律付けや信用補完として資金調達の円滑化に寄与する面がある一方、経営者による思い切った事業展開や創業を志す者の起業への取組み、保証後において経営が窮境に陥った場合における早期の事業再生を阻害する要因となっているなど、企業の活力を阻害する面もあり、経営者保証の契約時及び履行時等に

おいて様々な課題が存在する。こうした状況に鑑み、中小企業の経営者保証に関する中小企業、経営者及び金融機関による対応についての自主的自律的な準則として「経営者保証に関するガイドライン」(平成 25 年 12 月 5 日「経営者保証に関するガイドライン研究会」により公表。以下「ガイドライン」という。)が定められた。 このガイドラインは、経営者保証における合理的な保証契約の在り方等を示すとともに主たる債務の整理局面における保証債務の整理を公正かつ迅速に行うための準則であり、中小企業団体及び金融機関団体の関係者が中立公平な学識経験者、専門家等と共に協議を重ねて策定したものであって、主債務者、保証人及び対象債権者によって、自発的に尊重され、遵守されることが期待されている。金融機関においては、経営者保証に関し、ガイドラインの趣旨や内容を十分に踏まえた適切な対応を行うことにより、ガイドラインを融資慣行として浸透・定着させていくことが求められている。

 

要約すると、

「連帯保証は資金調達時の信用補完には役立つけれども、失敗したときの代償が大き過ぎ、起業マインドや再生を妨げたりする弊害もある。更には経営の引継など事業承継についても足かせとなっている。ついては、連帯保証に頼る融資慣行を改めよ。」

ということですね。

 

指針上は「求められている」なんてモヤっとした言葉になっていますが、つまりは、「やりなさい」という意味ですね。もっというと、金融庁が金融機関に変化を求めているわけです。

 

で、どのような変化、対応を金融庁は銀行に求めているかというと、以下。

 

III-9―2 主な着眼点

(1)経営陣は、ガイドラインを尊重・遵守する重要性を認識し、主導性を十分に発揮して、経営者保証への対応方針を明確化に定めているか。また、ガイドラインに示された経営者保証の準則を始めとして、以下のような事項について職員への周知徹底を図っているか。

①経営者保証に依存しない融資の一層の促進(法人と経営者との関係の明確な区分・分離が図られている等の場合における、経営者保証を求めない可能性等の検討を含む。)

②経営者保証の契約時の対応(適切な保証金額の設定を含む。)

③既存保証契約の適切な見直し(事業承継時の対応を含む。)

④保証債務の整理に関する対応(経営者の経営責任の在り方、残存資産の範囲及び保証債務の一部履行後に残存する保証債務の取扱いを含む。)

⑤その他(ガイドラインにより債務整理を行った保証人に関する情報の取扱いを含む。)

(2)ガイドラインに基づく対応を適切に行うための社内規程やマニュアル、契約書の整備、本部による営業店支援態勢の整備等、必要な態勢の整備に努めているか。

(3)主債務者、保証人からの経営者保証に関する相談に対して、適切に対応できる態勢が整備されているか。

(4)停止条件又は解除条件付保証契約、ABL等の経営者保証の機能を代替する融資手法のメニューの充実及び顧客への周知に努めているか。

(5)主債務者たる中小企業等から資金調達の要請を受けた場合には、当該企業の経営状況等を分析した上で、法人個人の一体性の解消等が図られているか、あるいは、解消を図ろうとしているかを検証するとともに、検証の結果、一体性の解消が図られている等と認められる場合は、経営者保証を求めない可能性等を債務者の意向も踏まえた上で検討する態勢が整備されているか。

(6)保証債務の整理に当たっては、ガイドラインの趣旨を尊重し、関係する他の金融機関、外部専門家(公認会計士、税理士、弁護士等)及び外部機関(中小企業再生支援協議会等)と十分連携・協力するよう努めているか。

(7)定期的かつ必要に応じ、内部監査等を実施することにより、ガイドラインに基づく対応が適切に行われていることを確認しているか。また、当該監査等の結果を踏まえ、必要に応じて態勢の改善・充実を図るなど、監査等を有効に活用する態勢が整備されているか。

 

つまりはガイドラインを守ることと、経営者保証に変わる新たな融資手法を開発しないとだめよ、と言っています。

 

それができないときには以下のお仕置きが待っています。

 

II-10―3 監督手法・対応

金融機関による上記の取組みについては、「主債務者、保証人及び対象債権者がガイドラインに基づく対応に誠実に協力することによって継続的かつ良好な信頼関係が構築・強化されるとともに、各ライフステージにおける中小企業や創業を志す者の取組意欲の増進が図られ、ひいては中小企業金融の実務の円滑化を通じて中小企業等の活力が一層引き出され、日本経済の活性化に資するよう、金融機関等による積極的な活用を通じて、本ガイドラインが融資慣行として浸透・定着していくことが重要」との政策趣旨に鑑み、適切に取り組む必要がある。 こうした取組態勢や取組状況を踏まえ、監督上の対応を検討することとし、内部管理態勢の実効性等に疑義が生じた場合には、必要に応じ、報告(法第 24 条に基づく報告を含む。)を求めて検証し、業務運営の適切性、健全性に問題があると認められれば、法第 24 条に基づき報告を求め、又は、重大な問題があると認められる場合には、法第 26 条に基づき業務改善命令を発出するものとする。

 

最近では青色のメガバンクさんが業務改善命令を受けましたね。銀行さんにとってこれはかなり嫌なことらしいです。実害はさほどあるわけではないのでなんでそんなに気にするのか?と不思議に思ったりもいたしますが、要は「出世に響く」ということのようですね。自分の銀行がつぶれない前提でいうと、あとは内部的な競争しかないわけですから、マイナスになるようなことをできるだけ避けたいという意識が働くのは仕方のないところかもしれませんね。いつつぶれてもおかしくない会社で派閥争いがあったりすることもままありますが。

 

さて、金融検査マニュアルの変更はどうなっているか、といいますと、債務者区分のところ、代表者等との一体性の項目について、ただし書きが追加変更されています。で、どういうものかといいますと、

 

「ただし、代表者等との一体性の解消等が図られている、あるいは、解消等を図ろうとしている企業の取扱いについては、「経営者保証に関するガイドライン」(平成25年12月5日経営者保証に関するガイドライン研究会)を踏まえる必要があることにも留意する。」

 

ガイドライン守れよ、というものですね。

これだけだとよくわかりませんが、文の流れでいいますと、

 

中小は企業と代表者がほぼ一体

→債務者区分の判断に当たっては(財務資産内容について)次の点に留意しなさい

→ただし書き

→なお書き(代表者には家族なども含まれるよ)

 →次の点いろいろ

 

となっておりまして、債務者区分の判断にあたり留意する事項が増えた、一体性解消を図る企業はガイドラインを踏まえるということを留意せよ、ということになります。

 

代表者等との一体性の項目というのはどんなものかといいますと、中小企業というのは代表者と会社の間でその財産の公私の別がつきづらいこともあるので、財務内容を額面通りでなく、代表者からの借入などは資本と考えてもいいですよ、代表者の資産は会社の資産と考えてもいいですよ、などといったものです。

意地悪な言い方をすれば、「債務超過にならないように下駄履かせてもいいよ」というところでしょうか。

 

以上が監督指針と金融検査マニュアルのざっくりとした変更内容です。

ガイドライン守りなさいよ、という内容になっているのがわかったところで、そのガイドラインそのものがどういうものとなっているのか、次回から見ていきたいと思います。

 

池田輝之

 

 

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