経営コンサルタントコラム 2015年12月16日号

相続放棄の実務(1)放棄の経緯

1.放棄の経緯

 

私事ではありますが、病気により父を亡くし、同時に相続が発生しました。

普通に相続する場合、心配するのは相続税かと思いますが、父の場合、手持ちの資産はほぼ無く、相続税の心配はありませんでした。

 

一方、事業を営んでおりましたので、会社借入の連帯保証債務が2億円弱ありまして、しかも期限の利益を喪失している状態であるため、すぐにも返済を迫られている状況でした。

 

とはいえ、各金融機関さんとは話合い済で、サービサーに行ったり、超長期のリスケを組んでもらったりして、ちろちろと返済できる範囲で返済をしている、というところでありました。

 

しかしながら、さすがに不動産など資産を持ちながらの話は、そう悠長な話は行っておられず、不動産市況が多少もどってきたこともあり、担保の実行とのこと(つまりは競売による返済)になりました。

 

居住していた自宅も会社名義であり、かつ、担保に入っていたため、競売により換価し返済に充てられることになり、賃貸住宅への引っ越しなど、検討することを余儀なくされました。

 

手持ち資産がないのも、借入返済によるものです。

資産は生活に必要な最低限のもので、ほぼゼロの状態となっており、事業は営んでいるものの、実際には年金生活の状況でありました。生活費の不足分については、子供たちの支援により、補っておりました。

 

ただ、自宅競売にあたっては、指をくわえて見ていたわけではなく、競売前に任意売却による買戻し等を検討し、話合いも行いましたが、債権者の了解は得られませんでした。

 

その後行われた競売にも札入の形で参加しましたが、自分の許容できる範囲、また経済合理性から鑑みた金額以上の金額で応札がなされ、結果的に自宅を維持することはできませんでした。

 

金額的な開きは、私の算定から1000万円程上でした。あまり高い金額で応札しても、貸家の賃料と比較して優位性がないということもあり、無理な金額では応札しませんでした。

 

ついては、自宅なり実家なりを失うことになりましたが、債権者さんにはその分大きな金額を返済することができましたし、一区切り、という意味でも、結果的によかったと思います。

 

自宅は利益を生むものではありませんので、守りたい一心で、経済合理性のない価格で買い取るのはおすすめしません。

実際、競売後1年程で父は亡くなりましたので、大きな家に母一人、しかも結構な賃料・返済負担という最悪の状況が避けられたのは不幸中の幸いかと思います。

 

自宅のリースバックなどを検討されているかたは、一時の感情に負けず、ぜひ慎重にご判断ください。

 

さて、父の事業については、病気になった時点で、ある程度整理をし、休眠状態としていました。

 

本社も競売により換価され、所在も知人の事務所へ間借り状態にありましたので、そちらも引き払い、事業を停止しました。

 

斯様な状況でありましたので、相続するものは借金だけ、という状況(つまりは債務超過状態)となっていた、ということになります。

 

これを下手に相続してしまうと、即座にウン億円の債務を背負ってしまうことになります。

自分の父が迷惑を掛けたもので何とかしたいところではありますが、さすがに億となるともうこれは手に負えません。

 

なので、相続はしない方が良い、という判断に至り、相続を放棄することになりました。

 

以上が相続放棄にいたる経緯です。

 

次回は相続の方法や放棄の期間についてお話していきたいと思います。

 

池田

 

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