先月可決成立した改正下請法ですが、改正についての講習会が中小企業庁の主体で開催されます。
講習会では、下請法の基礎知識だけでなく、改正のポイントや運用の要点解説なども予定されているようです。
今回の講習会は基本的にオンラインでの開催になりますが、今回はリアル講習会も開催されるとのこと。でしたが、6月27日に予定されていたリアル講習会はすでに満席となっているようです。
オンラインでも開催日時は決まっていて、事前予約が必要なため、受講希望の方は適正取引支援サイトから予約しておきましょう。
・経産省/中企庁適性取引支援サイト
https://tekitorisupport.go.jp/
ちなみにオンライン版もぼちぼち定員満席になりそうな進捗具合ですので、早めに動いたほうが良さそうです。
下請法改正で何が変わるのかざっくりしたところでいうと、
1.協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)
2.手形払等の禁止
3.運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)
4.従業員基準の追加(適用基準の追加)
5.面的執行の強化
となります。
ファクタリングを利用してキャッシュ化する仕組みとしても手形はダメ、というのは実務をよくわかっている人が作った感があります。
よくある仕組みなんですが、系列のファクタリング会社を通すことで、実質の値引きを強要していることがあるんですよね。
この問題にしっかりメスを入れたのはすごいなと思います。
また、これまで下請法の対象外だった発荷主と運送屋さんの取引も対象になり、
無償で行われていた荷役作業なども請求対象に一応なるようです。
物流コスト自体は上がるかもですね。
でも大手だけの問題でしょ?と思ってるみなさん、違いますよ~
下請法は、資本金1千万円超3億円以下の企業と資本金1千万円以下の会社や個人の取引も適用対象になっているのです。
資本金2,3千万の中小企業さんで手形で払ってるかた、いっぱいいらっしゃいますよね?
その中小企業さんが資本金1千万円の企業さんや個人さんに代金を支払う場合、手形では払えなくなるんです。
これは資金繰りに大きく影響しますね。
上記のように、これまで資本金で適用範囲が決まっていたところ、
今回の改正では従業員数でも選別されるようになりました。
具体的には従業員数300人超の会社と300人以下の会社との取引が対象に追加されます。
さらにいうと、製造系でない取引の場合はこれが100人になります。
そこそこ大きくやってるのに資本金だけが小さい会社とかありますものね。
それか、大資本の会社が資本金の小さい子会社かなんかこさえて下請法逃れしていたのがばれたか(汗)
なので、うちは中小企業だから関係ない、とかいう思考停止は危ないです。
手形取引できなくなると、資金繰りがきつくなりますからね、下手をすれば倒産します。
とにもかくにも法律を作った人がビジネス実態をよく調べてるなーという改正下請法でございます。
中小企業の経営者さんや総務経理責任者のかたなど会社の契約やお金をさわっている皆さんは講習を受けるなりして、一度情報を整理しておくのをおすすめします。
参考:中企庁HP「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」が成立しました
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/250516shitauke.html
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