昨日7月18日、事業承継M&A補助金第12次公募の公募要領とウェブサイトが開設されました。
前回11次は専門家活用枠の枠組みのみの募集でしたが、今回12次は、事業承継促進枠、専門家活用枠、廃業・再チャレンジ枠、PMI推進枠の4枠フルパッケージでの募集となりました。
ついては、なかなかわかりにくい補助金になってしまっている感も否めません。
なにせさらに枝葉が付いている枠もあるくらいですのでより複雑です。
スケジュールについては、今のところ公募期間だけは明らかになっていて、受付が8月22日、締め切りが9月19日です。だいたい締め切りから1カ月強で発表になるので、10月の末あたりが採択発表のタイミングでしょうね。
さて、事業承継やM&Aに関する補助金だろうことは字面からわかるところですが、なぜに4枠にも分かれているのか。それぞれの対象や内容がわからないと、本補助金の活用機会を逸することにもなってしまいます。
そこで、今回は事業承継M&A補助金の4枠について、それぞれの取り組み内容や経費の種類をご紹介しておこうと思います。
その前に、事業承継M&A補助金のそもそもの制度趣旨ですが、事業承継タイミングでかかる設備投資や専門家の経費を補助することで事業承継などを促進を図る、というものです。
さて、それではまいりましょう。
こちらは、親族内承継や従業員承継等の事業承継(事業再生を伴うものを含む)予定の後継者が中心となって取り組む、生産性向上に資する設備投資等を支援する枠、となっています。
引き継ぐにあたって生産性向上を図る目的で設備投資する場合に補助してくれるものですね。
生産性向上補助金と実質何が違うのか?という疑問はありますが、承継がきっかけという点が形式的には異なる点ですね。
ちなみに承継者は前任者の親族で、3年はその会社に勤めていないとだめです。
応募者も限られるはずなので、競争率は生産性向上補助金よりも低くなるでしょうから、採択の可能性も上がるというものです。
なお、今回は専門家活用枠、PMI推進枠との同時応募はできません。
補助金額は上限800万円が原則、賃上げ実施時は1000万円で補助率は小規模企業は2/3でその他の中小企業は1/2となっています。設備投資というには、ちょっとサイズが小さめですね。
次に専門家活用枠です。
専門家活用枠はM&Aを行う際に要するM&A仲介会社やフィナンシャルアドバイザー(FA)に対する費用、デューデリジェンス(事業精査)費用などを補助してくれるもので、更に買い手・売り手の2類型に分かれます
(1)買い手支援類型:譲り受ける側の中小企業を補助
(2)売り手支援類型:譲り渡す側の中小企業を補助
基本的にM&Aにより地域雇用や地域経済にプラスとなる度合いに採択は左右されるかと思います。
また、仲介・FA費用の補助を申請する場合、その仲介・FAは支援機関登録が必要になるので注意しましょう。
さて、気になる補助金額ですがこちらは原則上限600万円、プラス事業精査時上乗せ200万円で最大800万円となっています。
補助率は買い手類型が2/3、売り手類型が1/2(損益状態悪化や赤字企業は2/3)です。
それと、買い手支援類型には「100億企業特例」というのがありまして、100億円企業成長ポータルで売上100億を目標に実現に向けた取り組みを宣言すると使うことができます。
これになると補助上限が2000万円にあがります。
補助率は1000万円迄の部分は1/2、1000万ちょう2000万円の部分は1/3になります。ちょっと変則的ですがなかなか大きな補助金額です。
ただし、M&Aの取引サイズで5億円以上がマストなので、支払う専門家報酬も大きくなるため、負担自体は大きくなりますね。
3つめは、廃業・再チャレンジ枠です。
こちらの枠はM&A成立にいたらず廃業したり、また再チャレンジしたりする場合の取組みを支援するものです。具体的には登記費用や在庫処分等の撤去費用など廃業コスト全般への補助ですね。
なお、M&Aに着手したことが条件なので、引継ぎ支援センターへの相談やM&A支援機関との契約、マッチングサイトへの登録など、証明するものが必要となります。
他のすべての枠と併願することが可能なのも特徴です。
補助上限は150万円、補助率は2/3となっています。
さあ、疲れてくるとこですがこれで最後、PMI推進枠です。
こちらPMI推進枠も専門家支援枠と同じように以下2つの類型に分かれます。
(1)PMI専門家活用類型
(2)事業統合投資類型
そもそもPMIって何?というところから。
PMIとは、ポスト・マージャー・インテグレーションの頭文字をとった3文字で、M&A後の統合作業を意味します。
PMI専門家活用類型は、買収後実施する、理念の共有から事業計画の策定、事業構造見直しや管理系の統合・連携などなど、実務的なかなか骨の折れる作業について、専門家に支援を仰いだ際の費用を補助してくれるものです。
なお、専門家活用枠の買い手支援類型と同時申請することが可能です。なので、買い手支援とセットでアフターケアも専門家にしてもらう感じが使い良いかもしれませんね。
補助上限は150万円、補助率は1/2となっています。
もう一つの類型、事業統合投資類型ですが、こちらは、M&A後に生産性向上を狙って設備投資を行う場合のその費用について補助してもらえます。
専門家活用とは性質が異なる感じですね。1.の買収後版と思ってもらえればよいでしょう。
なので専門家活用枠、PMIでも専門家活用類型との併願はできません。
補助上限は原則800万円、賃上げする場合は1000万円、補助率は1/2が原則で小規模事業者は2/3、という設定は事業承継促進枠同様です。
以上が事業承継M&A補助金の概要となります。
4つの枠のどれが自分自社にあてはまるか、併願可能性はあるのかないのか、確認してご活用ください。
参考までに事業承継M&A補助金ウェブサイトのURLを貼っておきますので、さらに詳細を知りたい、というかたはそちらからチェックしてみてください。
↓
https://shoukei-mahojokin.go.jp/
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