未払賃金立替払制度の利用が増加

ニュースの概要

未払賃金立替払制度という仕組みをご存じでしょうか。

 

「未払賃金立替払制度」は、企業倒産により賃金が支払われないまま退職した労働者に対して、未払賃金の一部(8割)を立替払してくれる制度です。

 

制度自体は労働基準監督署と(独)労働者健康安全機構が実施しています。

なので、会社が潰れて給料が貰えないーという状況になったら、まずは近くの労基署に相談するのが良いですね。

 

この未払い賃金立替払い制度の支給者が10年ぶりに3万人を超えた、というニュースが東京商工リサーチさんから発表になっていました。

 

年度推移グラフ見ると、コロナ支援策の終了による倒産件数増加に伴い、制度利用者も増えている格好です。ちなみに10年前の2014年は消費税増税があって景気が落ち込んだタイミングですね。

 

グラフ出典:TSRデータインサイト
グラフ出典:TSRデータインサイト

制度利用の要件は?

さて、この制度が適用になるためには、いろいろと要件もあります。

一番のポイントは倒産したこと、事業が止まっていて、事実上の倒産状態で再開見込み、賃金支払能力がないこと、になります。なお、後者は中小企業だけの適用です。

 

支払われる額ですが、未払の賃金全額ではなく、未払い賃金総額の8割になります。ただし、年齢により立替払い金額の上限があります。ご紹介すると、

 

45歳以上だと未払い賃金総額限度が370万円となっていて、立替払いの上限はこれの80%で296万円。30~45歳は同じく賃金総額限度が220万円で立替払い上限が176万円、30歳未満は110万円の88万円、となります。

 

倒産状態になる過程で賃金が未払状態になるとしてもたいていは1ヶ月分程度ですから、月何百万も給料もらってる方以外は上限を気にすることはないでしょう。

 

ただ、退職金も対象になりますので、たとえ給料の未払が1ヶ月分だけでも、退職金含めると立替払いの上限までもらえる可能性があります。ありがたいですね。なので、会社の退職金制度も念のためチェックしておくと良いかと思います。

 

ちなみに、期間的には退職日の6か月前の日以降の賃金分が対象となります。

半年も給料が払われないで働き続けるとは考えにくいですけども。

 

気を付けなければいけないのは、事実上の倒産の場合は、それを労基署に認定してもらう必要がありまして、その申請を退職日から6か月以内にやらないといけません。

 

ぼやぼやしてると使えなくなるのでそこは要注意です。

 

立替払いされたお金はすべて退職金扱いなので、ほぼ税金の心配もいりません。

なので、2割は減ってますが、所得税を考えると手取りは変わらないくらいではないでしょうか。

 

勤めていた会社が倒産する、倒産状態であれば賃金も未払いになっていることもあるでしょう。

そんなとき、少なくとも働いた分や退職金の何割かをいただけるのは非常にありがたい話ですね。

 

絶対自分の身に降りかからないとは誰も言えません。ぜひ、転ばぬ先の杖、として頭の片隅にこの制度があることを置いておいていただければと思います。

 

 

その他より詳細な内容は↓こちらから

独立行政法人労働者健康安全機構HP

https://www.johas.go.jp/chinginengo/miharai/tabid/687/Default.aspx

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