経営コンサルタントコラム 2013年5月1号

「じつばつけいかく」って何だ?(その3)

では別途の金融検査マニュアル別冊中小企業融資編を見てみましょう。

内容は検証ポイントの貸し出し条件緩和債権の卒業基準にあります。

 

金融検査マニュアル別冊中小企業編

2.検証ポイント

検証ポイント中5.貸出条件緩和債権

(2)貸出条件緩和債権の卒業基準

ホ.中小・零細企業等の場合、大企業と比較して経営改善に時間がかかることが多いことから、資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト「自己査定」(別表1)1.(3)③の経営改善計画等に関する規定を満たす計画(債務者が経営改善計画を策定していない場合には、債務者の実態に即して金融機関が作成した資料を含む。以下「合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画」という。)が策定されている場合には、当該計画を実現可能性の高い抜本的な計画とみなして差し支えない。また、今後の資産売却予定や諸経費の削減予定等がなくても、債務者の技術力、販売力や成長性等を総合的に勘案し、債務者の実態に即して金融機関が作成した経営改善に関する資料がある場合には、貸出条件緩和債権に該当しないことに留意する必要がある。ただし、経営改善計画の進捗状況が計画を大幅に下回っている場合には、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画とは取り扱わない。また、経営改善計画の検証にあたっては、上記3.経営改善計画を踏まえて検証する必要がある。

 

ありましたね。

中小企業の場合は、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画(合実計画)が策定されている場合には、この計画を実現可能性の高い抜本的な計画とみなして差支えない、となっています。

実抜計画が「厳しめに計画して債務超過解消3年」でしたから、合実計画は要件がこれよりゆるくなっているはずです。となると合実計画の定義を知りたいですね。

 

合実計画の定義を知るには、上記マニュアルに記載の資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト「自己査定」(別表1)1.(3)③を見てみないといけませんね。

 

 

資産査定管理態勢の確認検査用チェックリスト「自己査定」(別表1)1.(3)③破綻懸念先-自己査定結果の正確性の検証

 

左記に掲げる債務者が破綻懸念先とされているかを検証する。ただし、金融機関等の支援を前提として経営改善計画等が策定されている債務者については、以下の全ての要件を充たしている場合には、経営改善計画等が合理的であり、その実現可能性が高いものと判断し、当該債務者は要注意先と判断して差し支えないものとする。

なお、本基準は、あくまでも経営改善計画等の合理性、実現可能性を検証するための目安であり、経営改善計画等が策定されている企業の債務者区分を検討するに当たっては、本基準を機械的・画一的に適用してはならない。

債務者区分の検討は、業種等の特性を踏まえ、事業の継続性と収益性の見通し、キャッシュ・フローによる債務償還能力、経営改善計画等の妥当性、金融機関等の支援状況等を総合的に勘案して行うものとし、本基準の要件を形式的に充たさない債務者を直ちに破綻懸念先と判断してはならない。

特に、中小・零細企業等については、必ずしも経営改善計画等が策定されていない場合があり、この場合、当該企業の財務状況のみならず、当該企業の技術力、販売力や成長性、代表者等の役員に対する報酬の支払状況、代表者等の収入状況や資産内容、保証状況と保証能力等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて検討するものとし、経営改善計画等が策定されていない債務者を直ちに破綻懸念先と判断してはならない。

さらに、債務者が制度資金を活用して経営改善計画等を策定しており、当該経営改善計画等が国又は都道府県の審査を経て策定されている場合には、債務者の実態を踏まえ、国又は都道府県の関与の状況等を総合的に勘案して検討するものとする。

イ.経営改善計画等の計画期間が原則として概ね5年以内であり、かつ、計画の実現可能性が高いこと。ただし、経営改善計画等の計画期間が5年を超え概ね 10年以内となっている場合で、経営改善計画等の策定後、経営改善計画等の進捗状況が概ね計画どおり(売上高等及び当期利益が事業計画に比して概ね8割以上確保されていること)であり、今後も概ね計画どおりに推移すると認められる場合を含む。

ロ.計画期間終了後の当該債務者の債務者区分が原則として正常先となる計画であること。ただし、計画期間終了後の当該債務者が金融機関の再建支援を要せず、自助努力により事業の継続性を確保することが可能な状態となる場合は、計画期間終了後の当該債務者の債務者区分が要注意先であっても差し支えない。

ハ.全ての取引金融機関等(被検査金融機関を含む)において、経営改善計画等に基づく支援を行うことについて、正式な内部手続を経て合意されていることが文書その他により確認できること。ただし、被検査金融機関が単独で支援を行うことにより再建が可能な場合又は一部の取引金融機関等(被検査金融機関を含む)が支援を行うことにより再建が可能な場合は、当該支援金融機関等が経営改善計画等に基づく支援を行うことについて、正式な内部手続を経て合意されていることが文書その他により確認できれば足りるものとする。

ニ.金融機関等の支援の内容が、金利減免、融資残高維持等に止まり、債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を伴うものではないこと。ただし、経営改善計画等の開始後、既に債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を行い、今後はこれを行わないことが見込まれる場合、及び経営改善計画等に基づき今後債権放棄、現金贈与などの債務者に対する資金提供を計画的に行う必要があるが、既に支援による損失見込額を全額引当金として計上済で、今後は損失の発生が見込まれない場合を含む。なお、制度資金を利用している場合で、当該制度資金に基づく国が補助する都道府県の利子補給等は債権放棄等には含まれないことに留意する。

 

結構長い文章ですが、ざっくりいうと、

「原則5年で債務超過解消の計画だけど、10年まででもOK。その場合は計画数値が8割切らないようにしてね。ただし金利減免とリスケだけの場合だけね。それと計画に基づく支援については全行一致で。」

ということですね。

 

つまり、債務超過までの期間(正常化)が実抜だと3年ですが、合実では5年~10年ということなので、中小企業が経営再建計画を作るときはMAX10年で正常化する計画を策定すれば良し、ということになります。

 

一度計画した数値が8割を切るといろいろと面倒そうですね。なので、厳しめに数値計画を作る必要があるのですが、ただ厳しくしてしまうとそもそも正常化するまでの利益が上がらない場合もありますよね。正直ここが一番、頭を悩ますところです。

 

実抜と合実の内容とその関係について見てきましたが、いかがでしょうか。

ご参考にしていただければ幸いです。

 

池田

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