経営コンサルタントコラム 2020年10月22日号

事業承継時は個人保証解除のチャンス

個人保証が事業意欲を削ぐ、経済活力向上の阻害要因となっていることから、経営者保証ガイドラインが作られ、2014年4月から施行が始まりました。

 

経営者保証ガイドラインとは、

 

・企業と経営者個人の資産・経理の明確な分離

・法人単体での十分な債務返済能力

・適時適切な情報開示

 

この3つが揃えば無保証で融資を受けられるようにしましょうね、というものです。

ただあくまで受けられる可能性があるだけで強制ではありませんから、従わなきゃいけないものでもありません。(できるだけそうしましょうね的なもの)

実際、融資全体の9割方はまだまだ経営者保証であるのが現実です。

 

事業承継についても、会社借入金の個人保証が大きな障害となっています。

代表を引き継ぐと、代表者のかたには個人保証してもらいますね、と借入金融機関から当然のごとく言われ、拒否なんてとてもできそうにない空気の中、保証のハンコを押すことになります。

承継したとたんに会社の借入の保証がどーんと降り掛かってくるわけですから、それは躊躇するのが普通の感覚であり、当然です。

 

承継については、税制面では、事業承継税制というかたちでしっかりと対応がなされてきました。株式の移動について税務面での問題はほとんどなくなったのではないでしょうか。

 

一方、個人保証については、前述のように後継者確保のネックとして存在していました。

これをなんとかしようというのが、「事業承継時の経営者保証解除に向けた総合的な対策」です。

 

具体的には、

 

1.政府系金融機関融資の無保証化拡大

(1)商工中金は、「経営者保証ガイドライン」の徹底により、一定の条件を満たす企業に対して「原則無保証化」

(2)事業承継時に一定の要件の下で、経営者保証を不要とする新たな信用保証制度を創設。また、専門家による確認を受けた場合、保証料を軽減し、最大でゼロに。

 

2.金融機関の取組を「見える化」し、融資慣行改革へ

(3)①事業承継に焦点を当てた「経営者保証ガイドライン」(2014年2月運用開始)の特則策定・施行

②経営者保証解除に向けた、専門家による中小企業の磨き上げ支援(経理の透明性確保や財務内容の改善等)やガイドライン充足状況の確認

(4)金融機関の経営者保証なし融資の実績等(KPI)を公表

 

が、令和2年4月施行にて行われています。

 

商工中金は年間3万件程の融資について原則無保証とするようです。

新たな信用保証制度については、「一定の要件」というのが気になるところですね。

 

「一定の要件」を見てみますと、

 

①資産超過

②返済緩和債権なし

③一定の返済能力(EBITDA有利子負債倍率10倍以内)

④社外流出等なし

 

ということのようです。

こんなピカピカの会社でしたら個人保証していても(潰れる恐れがないんですから)問題ないですね。(苦笑)

 

このような会社を承継するについては、特に不安はないと思いますので、承継への不安を解消する、という本来の目的は達成できないと思います。(個人保証は多少減るでしょうが)

 

他、目を引くところでは、新旧経営者からの二重徴求の原則禁止があげられていますね。

経営者ガイドラインの特則ということですが、後継者への保証を求めないように、とか、前経営者の保証を外すこと(慎重に検討とかいてありますが)などは目玉ではないでしょうか。

 

金融機関に対し、この対応ができているかモニタリングし指導する、ともありますので、金融機関は戦々恐々でしょう。(公表までされるらしいですし)

承継時に保証を引き継がないこと、前経営者の保証を外すことを要請すれば、これは通るかもしれませんね。

 

そもそも経営者の個人保証がなぜ求められるかというと、公私一体の中小企業では、たくさん借りて、たくさん報酬とって、たくさん知り合いの会社に発注してなんてことで、ある意味詐欺的に(結果としてそうなることも含む)借入をすることができる余地があるからですね。

 

なので、好き勝手されても回収できるよう、経営者個人の保証も求める、ことになるわけです。

金融機関は経営者責任などともいいますが、経営者責任を誰に対して負っているのか?というと債権者には返済義務を負っているだけで、経営とは関係ないです。株主じゃないですから。なので、経営について銀行からとやかく言われる筋合い本来的にはありません。ただ、返せなくなったらそれはそれで立場は弱いので、聞いてるふりはしないとですけどね。

 

話が逸れましたが、経営者保証がなければ個人と切り離せるので、法人としての返済義務だけとなり、会社が潰れたら個人も破産、自宅も失い一家離散、のような悲劇も起こらないことになります。

 

どのみち貸すにあたって個人保証なんて心理的プレッシャー以外のなにものでもありません。そもそも個人から回収できる額なんて知れてます。経済的な意味合いなんて微々たるものです。

 

融資条件は厳しくなるとは思いますが、金貸し商売は貸さなければ始まりません。なのでなんやかんやといいつつも貸すところは出てきます(金利は上がると思いますが)心配は要りません。

 

むしろ、経済的にもチャレンジしやすい環境が、ゆっくりとかもしれませんが整っていくように思えます。保証による悲劇のない日本となっていくと良いですね。

 

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