2026年上半期倒産動向|増加率で見えてくる「次に危ない業種」とは

帝国データバンクが2026年7月8日に発表した「全国企業倒産集計 2026年上半期報」によれば、2026年1〜6月の全国企業倒産件数は5335件となり、前年同期(5003件)を6.6%上回りました。上半期としては4年連続の増加、2年連続で5000件を超える高水準となっています。

 

コロナ関連の緊急融資(いわゆるゼロゼロ融資)を原因とする倒産は2年連続で減少に転じた一方、人手不足倒産・後継者難倒産・物価高倒産はいずれも過去最多を更新しました。倒産の主因が「コロナ融資後の反動」から「構造的な経営課題」へと明確にシフトしていることが、今回の集計の大きな特徴です。

 

本コラムでは、単純な件数の多寡だけでなく、前年同期比の増加率という切り口から、どの業種・地域に負荷がかかっているのかを整理します。

 

業種別の増加率ランキング ― 運輸・通信業の伸びに注目

主要7業種の前年同期比を増加率順に並べると、次のようになります。

業種 2025年上半期 2026年上半期 前年同期比
その他(農林漁・鉱業・金融保険等) 171件 227件 +32.7%
運輸・通信業 195件 231件 +18.5%
卸売業 533件 587件 +10.1%
サービス業 1,329件 1,418件 +6.7%
建設業 986件 1,043件 +5.8%
小売業 1,078件 1,108件 +2.8%
製造業 558件 573件 +2.7%
不動産業 153件 148件

▲3.3%

 

件数で最も多いのはサービス業(1,418件)と小売業(1,108件)ですが、増加率で見ると運輸・通信業の伸びが際立ちます。上半期としては2年ぶりに前年を上回っており、燃料費や人件費の上昇に価格転嫁が追いつかない構造がうかがえます。

 

業種中分類で見る「明暗」 ― 輸出系は堅調、内需系は苦戦

業種を中分類まで掘り下げると、増加率の大きい項目として次が挙げられます。

  • 窯業・土石製品製造業:6件→14件(+133.3%)
  • 各種商品卸売業:7件→13件(+85.7%)
  • 郵便業、電気通信業:5件→9件(+80.0%)
  • 鉱業:1件→6件(+500.0%)
  • 教育:11件→16件(+45.5%)

いずれも母数が小さく振れ幅は大きいものの、件数のボリュームも合わせて見ると次のような業種の苦戦が目立ちます。

  • 農業・林業・漁業:51件→65件(+27.5%)
  • その他の卸売業:123件→149件(+21.1%)
  • 運輸業:190件→222件(+16.8%)
  • 飲食料品小売業:170件→195件(+14.7%)
  • 繊維・衣服・繊維製品卸売業:90件→103件(+14.4%)
  • 専門サービス業:214件→239件(+11.7%)

 

一方で、輸送用機械器具製造業(▲40.0%)、電気機械器具製造業(▲28.6%)、パルプ・紙・紙加工品製造業(▲23.1%)など、輸出比率の高い製造業種はむしろ倒産数が減少しています。

 

円安局面が輸出関連企業には追い風となっている一方、輸入コストの上昇に直面する内需型の卸売業・小売業には逆風となっている構図が見て取れます。

 

建設業も、職別工事業(463件→522件、+12.7%)、総合工事業(312件→349件、+11.9%)と件数・増加率ともに高い水準ですが、設備工事業は172件と前年から18.5%減少しており、同じ建設業界の中でも業種細分類によって明暗が分かれています。

 

サービス業についても、件数だけを見ると最多業種ですが、内訳では広告・調査・情報サービス業(450件→489件、+8.7%)と専門サービス業(214件→239件、+11.7%)が牽引役となっており、業種内で伸びに偏りがあることが分かります。

 

倒産主因:経営者の病気・死亡が過去最多

倒産の主因別に見ると、「経営者の病気、死亡」が164件から205件へと25.0%増加し、2000年以降で最多となりました。件数の絶対値は決して大きくはありませんが、増加率としては際立っています。

 

事業承継の準備が整わないまま経営者の健康問題が経営継続を直撃するケースは、日頃の企業支援の現場でも珍しくありません。後継者難倒産も312件(前年同期比+16.9%)で過去最多を更新しており、両者は連動した課題として捉える必要があります。

 

業歴別・地域別の傾向

■ 業歴別 ― 節目は5年・15年・30年

業歴別の増加率を見ると、業歴15年未満が665件から783件へ17.7%増、業歴20〜30年未満が729件から818件へ12.2%増と、この2つの区分の伸びが目立ちます。

一方で業歴5〜10年未満は997件から977件へ2.0%減少しており、業歴による負荷のかかり方に偏りが見られます。

 

創業から間もない時期、経営体制が固まりきる中間期、そして経営者の高齢化が現実味を帯びる長期経営期、それぞれ異なるタイミングで倒産リスクの山が形成されていると見ることができます。

 

■ 地域別 ― 北陸・四国・北海道の増加が顕著

地域別では、9地域中8地域で前年を上回りました。増加率で見ると、北陸が155件から218件へ40.6%増と最も高く、次いで四国が105件から132件へ25.7%増、北海道が125件から156件へ24.8%増となっています。

 

唯一前年を下回った東北(314件→234件、25.5%減)とは対照的に、地方圏の中でも地域差が広がっている点は注目に値します。

 

まとめ ― コロナ融資後倒産から構造的な倒産へ

今回の集計が示すのは、倒産の背景がコロナ関連融資の返済負担という一時的な要因から、人手不足・後継者難・物価高・経営者の高齢化といった構造的な要因へと移行しているという事実です。

 

「ゼロゼロ融資後倒産」が256件と2年連続で減少する一方、人手不足倒産(227件)・後継者難倒産(312件)・物価高倒産(556件)はいずれも過去最多を更新しました。

 

件数の多い業種だけに目を向けるのではなく、増加率という切り口で自社の属する業種・地域の位置づけを確認することが、早期の経営改善や資金繰り対策の第一歩になります。

 

特に事業承継の準備状況や、価格転嫁力の乏しい取引構造を抱えている企業は、平時のうちに対策を講じておくことが重要です。

 

 

 

参考記事:TDB「全国企業倒産集計 2026年上半期報」(2026年7月8日発表)

 

 

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