経営コンサルタントコラム 2016年3月11日号

税金は会社が潰れても追いかけてくる(2)

☆税金は滞納している人の関係者にも払えといってくる

 

しかし、税金の場合は話がちょっと変わってきます。

連帯保証などしていなくても、「代わりに払え」と言われることがあるんです。

 

これを第二次納税義務といいます。

この制度は、徴収不足がある場合に特定の第三者(当事者でなく、第三者!)に補充的に納税義務を負わせるものです。

 

いくら徴収したいといっても第三者から徴収しちゃうってちょっと豪快にもほどがありますよね。

そこで、その運用については、以下の点にようよう注意してかかれ、とあります。

 

(1)第二次納税義務の成立要件についての事実関係及び徴収不足であるかどうかの判定

(2)第二次納税義務を負うべき者であることの認定

(3)第二次納税義務の限度の判定

 

読めば至極当り前ですが。。

 

第二次納税義務とは、ざっくりいうと、納付不足額についての連帯保証みたいなものです。

で、その連帯保証すべきかどうかは税務署が決める、と。

 

これはこわい。

 

前述の連帯保証はなんやかんやいいながら自分の意思でハンコ押すわけです。

嫌なら押さなきゃいいわけで(借りられないとは思いますが)、そこにはちゃんと自分で決めた、というプロセスと何かのときには来るよな、という覚悟・意識があるわけです。

 

でも第二次納税義務については、それがない。

税務署が「あいつから徴収しよっ」て決めるわけですから。

御無体なって話です。

 

 

☆第二次納税義務を負う人とは

 

とはいえ、いくら第三者といえども、やたらめっぽうに第二次納税義務を負わせる話でもありません(当たり前ですが)。

 

第二次納税義務を負うとされているのは、

 

1.無限責任社員

2.清算人等

3.同族会社

4.実質課税額等

5.共同的な事業者

6.事業を譲り受けた特殊関係者

7.無償又は著しい低額の譲受人等

 

となっています。

 

無限責任社員はいいですね、なにせ無限責任ですから「負うだろうな」ということは容易に想像できます。

 

清算人は、納めるべき税金が残っているのに、配当しちゃった場合などに代わりに払えといわれます。配当を受けた人も同様に払えといわれます。

 

そもそも配当はすべての債権債務を清算したあとのものなので、清算漏れして払ったのを戻してもらうイメージでしょうか。

 

ただし、その限度は、清算人については分配又は引渡しをした財産の価額、配当を受けた者はその受けた財産の価額の限度になります。

 

配当を受けた人については受けた分だけの話なので問題は少ないでしょうが、清算人はそうでないのでたいへんです。とはいえ、中小企業の場合は100%オーナー社長なので、清算人も配当を受けた人も同一人物となることが多く、問題は少ないかもしれません。

 

同族会社というのは、個人が税を滞納していたときの話、その個人が同族会社の株式なり出資なりを持っていた場合に関係するものです。同族会社の株などは換価できないので、代わりにその会社さんに払ってもらう、という仕掛けですね。

 

実質課税額等とは実質所得者に対する課税についての第二次納税義務ということです。

実質所得者課税とは、、

 

(実質所得者課税の原則)

第一二条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。

 

ということで、実際にお金を手にするひとに対し課税するよん、という原則です。

この実際にお金を手にした人が税金を払わない場合の第二次納税義務者は、実質でなく、法律上その収益が帰属する人になります。

 

なので、軽い気持ちで名義貸しをしたら、貸した相手が税金払わずドロン、とかそんなことになると(よくある話)、税金がやってくることになります。金額もろくすっぽチェックしないで名義貸しなんぞすると、どかんと税金がやってきて、知らないでは済まされないことになります。

 

こわいですねぇ。気を付けないといけません。

 

(つづく)

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問題解決画像池田輝之

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