2025年度、タクシー業界で倒産が急増しています。
信用調査会社の 東京商工リサーチ の調査によると、2025年度(4月~2026年2月)のタクシー会社の倒産は36件となりました。
これは前年同期と比べて約80%増という大幅な増加です。さらに、この時点で過去20年間で最多だった2011年度の年間倒産件数に並ぶ水準となっています。
このまま推移すれば、過去20年で最多の倒産件数になる可能性が高いとみられています。
コロナ禍が落ち着き、観光や外出の回復によってタクシー需要自体は戻りつつあります。
それにもかかわらず、なぜ倒産が増えているのでしょうか。
背景には主に3つの構造問題があります。
① 深刻なドライバー不足
タクシー業界では、慢性的なドライバー不足が続いています。
コロナ禍で離職した運転手が戻らなかったことに加え、現在はドライバーの高齢化も深刻です。
その結果、「車両はあるが運転手がいない」「稼働率が上がらない」という状況が発生しています。
② 燃料費・人件費の上昇
経営を圧迫しているのが燃料費や人件費、車両更新費等コストの上昇です。
運賃改定が進んでいる地域もありますが、コスト増を完全には吸収できていない企業も多くあります。
③ 地方では需要そのものが減少
地方のタクシー会社はさらに厳しい状況です。
理由は、人口減少、自家用車中心の移動、利用者の高齢化などです。
また都市部と違い、配車アプリなどのデジタル化(DX)が進んでいない地域も多く、競争力の差が広がっています。
今回の倒産企業を見ると、負債1億円未満がおよそ7割、従業員5人未満が半数以上と小規模事業者の割合が高いのが特徴です。
つまり、地域密着型の小さなタクシー会社ほど経営が厳しい状況となっています。
地域別の倒産件数では、東北地方が最多となりました。次いで、関東、近畿、中国、九州の順となっています。
人口減少が進む地域ほど、タクシー事業の採算が取りにくくなっていることが背景にあります。
タクシー業界では今後、人手不足・地方の需要減少・コスト増といった問題が続くと見られています。
そのため、大手による買収、地域会社の統合、配車アプリによる業界変化など、業界再編が進む可能性が高いと言われています。
地方の交通インフラとして重要なタクシー。
今後は、経営改革やデジタル化への対応が生き残りのカギになりそうです。