全東信破産に伴う資金繰り対策|セーフティネット貸付・保証の活用法

2026年7月、全東信の破産手続開始に伴い、経済産業省は影響を受ける事業者向けの特別相談窓口を設置しました。クレジットカード決済の代行を担っていた同社の破産により、加盟店側では数日分の売上金が回収不能となる事態が生じています。

 

 

本コラムでは、こうした状況で活用できる公的支援制度として、セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)とセーフティネット保証1号の内容を整理し、実務上どのように対応を検討すべきかを解説します。

 

全東信破産とセーフティネット制度の適用

経済産業省は特別相談窓口の設置とあわせ、全東信の破産により資金繰りに影響を受ける事業者を、セーフティネット貸付の対象とする措置を取りました。

 

措置の詳細は経済産業省の公表資料

https://www.meti.go.jp/press/2026/07/20260710007.html

および特別相談窓口一覧

https://www.meti.go.jp/files/000002526.pdf(PDF)

でご確認いただけます。

 

 

セーフティネット貸付(経営環境変化対応資金)の概要

通常、セーフティネット貸付を利用するには「最近3ヶ月の売上高が前年同期または前々年同期に比べて5%以上減少」といった数値要件を満たす必要があります。

 

 

しかし今回のように特別相談窓口が設置された事象による影響の場合、この数値要件を満たさなくても、資金繰りに著しい支障をきたしている、またはきたすおそれがあれば対象となる点が重要なポイントです。

 

相談・申込先は日本政策金融公庫です。

項目 内容
 対象者

 外的要因により一時的に業況悪化をきたしているが、

中長期的な回復・発展が見込まれる中小企業・小規模事業者

対象資金 設備資金・運転資金
貸付限度額 中小企業事業:7億2,000万円/国民生活事業:7,200万円
貸付期間 設備資金20年以内/運転資金10年以内
据置期間 3年以内
貸付利率

基準利率(中小企業事業2.65%、国民生活事業3.35%)

※令和8年7月現在・貸付期間5年以内の標準利率。

実際の適用利率は担保・信用リスク等により異なります

セーフティネット保証1号の概要

 

 

売掛金の未回収により資金繰りに支障が生じている場合には、信用保証協会によるセーフティネット保証1号(別枠100%保証)の活用も検討できます。

 

項目 内容
認定要件①   指定事業者に対し50万円以上の売掛金債権または前渡金返還請求権を有すること
認定要件② 50万円未満でも、当該指定事業者との取引依存度が20%以上であること
対象資金 経営安定資金
保証割合 100%保証
保証限度額 無担保8,000万円・普通2億円(一般枠とは別枠)
保証人 原則第三者保証人は不要

 

 

相談・申込先は取引金融機関(保証協会経由)となります。

 

実務上どの程度の影響が見込まれるか

今回は全東信の破産により、おおむね5日分程度のクレジットカード売上が回収できなくなる可能性があります。月商300万円規模の店舗であれば影響額は50万円程度となり、単体でただちに倒産に至るような規模ではないケースが多いと考えられます。

 

しかし利益への影響は避けられず、資金繰りに余裕のない事業者ほど、既存借入の返済との兼ね合いで苦しい判断を迫られることになります。

 

リスケジュールとセーフティネット貸付、どちらを選ぶべきか

返済負担が重い場合の選択肢として、金融機関への返済猶予(リスケジュール)と、セーフティネット貸付による新規借入の2つが考えられます。

 

 

リスケジュールは目先の資金繰りを楽にしますが、実行後は新規融資が受けにくくなるという副作用があります。

 

今回のような外的要因による一時的な影響であれば、リスケジュールに頼るのではなく、セーフティネット貸付を活用し、ある程度まとまった資金を借り入れて乗り切る方が、今後の資金調達力を維持するうえでは望ましいと考えられます。

 

ただし、そもそも事業の継続性自体に疑義がある状態では、セーフティネット貸付であっても審査が通らない点には留意が必要です。

 

まとめ

全東信の破産は、直接の取引先でなくとも決済代行を通じて多くの事業者に影響を及ぼす可能性があります。

 

数値要件を満たさない場合でも特例的に対象となり得るセーフティネット貸付、および売掛金回収困難時のセーフティネット保証1号は、いずれも実務上有効な選択肢です。

 

自社の状況を早めに整理し、金融機関や公庫への相談、またリスケジュールとの比較検討を行うことが、今後の資金繰りを安定させる鍵となります。

 

 

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池田ビジネスコンサルティング(代表 池田輝之)

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