2026年7月1日、新事業進出補助金の第3回公募(令和8年3月26日締切)について、採択結果が発表されました。
■ 採択結果の概要
第3回公募の応募数は1,212者、採択数は423者で、採択率は34.9%となりました。このうち、米国の関税措置により影響を受けた事業者を対象とする加点措置の対象者は176者にのぼります。今回の公募では、一連の関税措置によって経営環境に影響を受けた事業者に対する優先的な採択が行われている点が特徴です。
■ 過去3回の採択率推移
| 回次 | 応募数 | 採択数 | 採択率 |
|---|---|---|---|
| 第1回 | 3,006者 | 1,118者 | 37.2% |
| 第2回 | 2,350者 | 832者 | 35.4% |
| 第3回 | 1,212者 | 423者 | 34.9% |
回を重ねるごとに採択率はやや低下していますが、大きな変動はなく、35%前後という水準で推移していると見てよいでしょう。制度の詳しい内容については、過去のコラムもあわせてご参照ください。
■ 公募者データから見える傾向
中小機構からは、応募・採択の内訳データも公表されていますので、あわせて確認していきます。
応募・採択ともに製造業が最多で、応募全体の約2割弱、採択でも2割強を占めています。次いで卸売業・小売業、建設業と続き、この上位3業種で応募数の約半分を占める結果となりました。なお採択件数では、建設業が卸売業・小売業を上回り2位につけている点も注目されます。
新事業進出補助金は賃上げ要件が課される制度設計上、従業員一人当たりの売上高が大きい業種ほど要件を満たしやすい傾向があります。製造業が上位を占めているのは、こうした制度の性質と整合的といえるでしょう。
都道府県別では、東京都(応募248件・採択76件)、大阪府(応募119件・採択35件)、愛知県(応募68件・採択27件)と、企業数の多い三大都市圏が上位を占めています。企業数自体が多いエリアですから、この結果自体は自然な傾向です。一方で、京都府(応募49件)が福岡県(応募52件)に迫る応募数となっている点は、やや意外な結果といえます。
申請額の分布を見ると、2,500万円以上3,000万円未満が246件と最も多く、次いで1,000万円以上1,500万円未満(211件)、500万円以上1,000万円未満(174件)の順となっています。
採択件数・採択率で見ると、2,500万~3,000万円未満の層が約41%、1,000万~1,500万円未満の層が約37%と、比較的高い水準にある一方、500万~1,000万円未満の層は約23%にとどまっています。
2,500万円台の申請額帯は、従業員数50人以下の中小企業が中心となる価格帯です。従業員数が少ないほど賃金総額も抑えられるため、賃上げ要件をクリアしやすく、補助金のメリットを活かしやすい構造になっていると考えられます。
■ 今後の制度動向
第4回公募(締切6月19日)をもって現行の新事業進出補助金は最終回となり、次年度以降はものづくり補助金と統合された新制度「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として実施される見通しです。制度の基本的な考え方は引き継がれるとみられますが、採択率の水準がどう変化するかは、今後の公募要領の公表を待つ必要があります。
■ おわりに
補助金の採択率や公募者データを見ていくと、単に「制度に申請する」だけでなく、自社の事業計画がどのように評価軸と合致しているかを見極めることの重要性が見えてきます。事業計画書の策定や、金融機関との交渉を含めた資金計画づくりでお悩みの際は、お気軽にご相談ください。
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池田ビジネスコンサルティング(代表 池田輝之)