経営コンサルタントコラム 2016年4月21日号

業界の流れを把握しよう~金属プレス加工業を参考に。

金属プレスは、プレス機により、鋼材などを金型にプレスし、形を作り出すものです。大きいものですと自動車のボディ(金属プレスの販売額は車関連が全体の8割を占めています)があります。

 

金属を加工する方法には、プレス以外に鋳造(金属を溶かして型に流す)や切削(金属を削り形を作る)があります。大量に加工する場合はコストと精度のバランスからプレス加工で作られるのが一般的です。

 

事業所も大規模なものから、町工場まで製造製品のサイズによって千差万別存在します。どうしても作業上騒音が発生するので、都会にあった多くの町工場が地方へ移転しています。

 

基本的には製造業者の部品製造下請けを担っていることが多く、ものづくり企業として、独自の技術ノウハウを有している会社もある一方、そうでない多くの会社は大量生産・大量消費のビジネスのなかで利益率の低い、薄利な収益状況となっています。

 

売上額に支えられていた薄利ビジネスですが、ここのところ売上が減少し、低い利益率では事業が成り立たなくなってきました。

 

工業統計によると、1990年には約6200事業所あった金属プレス業者さんが20年後の2010年には3500事業所と約半分に減っています。

 

従業員数は95000人から77000人と2割弱の減少となっており、事業所数の変化ほどの減少はありません。

事業所規模で見てみると、10人未満の事業所は6割減少しているのに比べ、100人以上500人未満の事業所は3割増加しており、大規模事業所への収れんが進んでいることなっています。

 

それ(事業所減少)がなぜかと金属プレス加工業の販売額推移を調べていたところ、急激な円高が進んだタイミングで販売額が減少していることがわかりました。為替相場の動きと販売額の増減が非常にリンクしていたのです。

 

1ドル144円前後であった1990年では1,170,265百万円あった金属プレス加工販売額が、円が1ドル87円前後まで上がった2010年には、763,694百万円にまで減少しています。言い換えると、円が40%上がり、販売額が35%下がったことになります。暦年推移で見ていきますと、まさに為替の動きに連動した増減となっています。

 

特にリーマンショックでの円高は強烈にマイナスの影響を受けており、多くのプレス加工業者さんが事業をやめられたと思われます。

 

落ち込み幅でいうと、電気機器・通信機器用の部品、事務用機械器具用の部品は大きく、円高とリーマンショックのWパンチをもろに受けた格好となっています。その後、為替が円安に動いてもこの2つの部品については回復の兆しはほとんどありません。主製品自体が海外生産へシフトし、国内に当該製品のプレス加工需要がなくなったと思われます。(自動車関連は同様に為替に連動して販売額が増減していますが、東日本大震災による影響(国内特需)で急激に回復しています。)

 

一方、最近の円安で販売を戻してきたものもあります。それは、厨暖房機器用の部品と産業機械器具用、家具建築用の金属部品の3品です。

 

自社の取引先が何を作っているのかを知り、為替の流れを読み、次の動きを想像することで、事業に受けるダメージを最小限に食い止めることもできます。

 

今回はプレス加工業を参考に見てきましたが、皆さんの業界それぞれにも同様の傾向や流れ・動きがあります。

 

自社内部の問題だけでなく、自社の置かれた外的な状況もチェックし、戦略策定や経営判断の材料といただければと思います。

 

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