経営コンサルタントコラム 2016年11月20日号

銀行から脅しを受けたら。

銀行からの借入がある会社の経営状況が悪化して、資金繰りに苦しむようになると、返済を伸ばしてもらったり、返済期間を長く変更して、月々の返済を少なくしてもらったりします。

 

このような月の返済額を少なくしてもらうことを、返済猶予(リスケジュール。略して「リスケ」と呼ぶことが多い)といいます。

 

銀行にリスケ、つまり金融支援してもらうわけですから、会社側が銀行にリスケによる支援を頼む、という図式になります。

 

銀行側としては、当初約定のとおり弁済してください、と突っぱねることもできます。それはそうですよね、契約しているわけですから。

 

ただ、突っぱねればそれでいいかというと、そういうわけでもありません。支援を依頼してきた会社は、放っておけば資金繰りに窮して潰れてしまいます。潰れてしまえば貸したお金は返ってこないことになります。

 

つまり、多少返済期間を長くしても、それで返済ができるのであれば許容するのが合理的です。

 

合理的、ではありますが、それを決めるのは銀行の自由です。

会社の生死を決めるのは銀行、になります。

要するに、首根っこを掴まれるわけですね。

 

会社としては、潰れたくないものですから、どうしても銀行さんのいうことを聞こう、というポジションになります。

 

圧倒的に弱みがあるものですから、銀行から人格を否定するようなひどいこといわれたりとか、無理難題を突きつけられたり、半ば脅しのような話をされても、呑みこまざるを得ないような関係に陥りがちです。

 

銀行は相手に弱みがあることにつけ込んで、無茶を言ったりするわけです。

で、こういうことが許されるのか?というのが今回のお話です。

 

結論からいうと、いってきた無茶の内容により、違反となります。

何の違反なのだというと、「独占禁止法違反」です。

 

違反の内容としては、優越的地位の濫用、ということになります。

 

優越的地位の濫用とは、

 

「取引上の地位が相手より優越している一方が、その地位を利用して、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えること」

 

をいいます。

 

ダメな理由は、公正な競争を阻害するからです。何もなければ他のところに頼むこともできるわけですからね。

 

優越的地位の濫用は、以下3つの要素から判断されます。

 

1.優越的地位

B社にとってA社との取引の継続が困難になることが、事業経営上大きな支障を来すため、A社がB社にとって著しく不利益な要請等を行っても、B社が受け入れざるを得ないような場合をいいます。

 

2.正常な商慣習に照らし不当

公正な競争を阻害するおそれがある場合をいいます。

 

3.濫用行為

優越的地位の濫用になりうる行為類型は以下です。

 

・購入、利用強制

・協賛金等の負担の要請

・従業員等の派遣の要請

・その他経済上の利益の提供の要請

・受領拒否

・返品

・支払い遅延

・減額

・その他取引の相手方に不利益となる取引条件の設定等

 ・取引の対価の一方的決定

 ・やり直しの要請

 ・その他

 

金融機関の違反事例として、

 

・融資に関する不利益な取引条件の設定・変更

・自己の提供する金融商品・サービスの購入要請、関連会社などの取引の強要

・競争者との取引の制限

・融資先企業の事業活動への関与等

 

の行為類型があげられます。

 

リスケ呑んでるんだから、投資商品買え、とか、他も選べるはずが子会社のコンサル会社利用を強制するとか、その辺になるとバッチリ優越的地位の濫用ですよね。

 

ただ、利用強制も、合理的な必要性、理由がある場合は問題になりません。実際どのあたりが合理的なのかそうじゃないのか、という判断はむずかしいかと思いますが、公正取引委員会が総合的に考慮し、決めるところになります。事例を見て、違反になるかならないかを掴みましょう。

 

いざ優越的地位の濫用となると、排除措置命令や課徴金納付命令が公正取引委員会から課せれたり、警告や注意がなされます。

 

これら命令等自体は、従ってしまえば良いので、直接的にはさほど大きな問題ではありませんが、命令を受けた、というのは銀行にとってよろしいことがあろうはずもありません。

 

なにせお上のご意向に逆らっては生きられない、許認可商売の銀行業です。行政から命令など受ければ、直接の担当者は飛ばされるでしょうし、出世の道は消えるでしょう。上長も、下手をすればそのまた上までも、その責任を問われかねません。

 

これは、(いちサラリーマンである銀行員にとって)相当こわいことですね。人生棒に振ることになりかねませんので。

 

とはいえ、このようなことが起こりうる、ということを理解していない無知な担当者もなかにはいます。優越的地位の濫用って何スカ?みたいなお馬鹿さん。

 

なにせ知らないので、独禁法違反ですよ、ということも平気でいってきたりします。(知らぬが仏)

下手すれば脅迫?刑事罰?みたいなことやる輩もいるとかいないとか。

 

そんなときは、優越的地位の濫用という言葉を思い出し、上の3つの要素に当てはまるようであれば、

 

「いわれることがさすがにひどく、耐えかねるので、公正取引委員会に相談します。上長さんにもその旨お伝え下さい。」

 

とボソリを伝えてみましょう。

 

会社に戻ったとたんに上長からお詫びの電話が鳴るはずです。

これで嫌な担当も変わり、きちんと事が進んでいくでしょう。

 

いくら立場が強いとはいえ、やっていいこと、いって良いこと悪いことはあります。

弱い立場であっても、すべてを耐え、受け入れる必要はありません。

 

矜持を持って、知識で武装し、上手に対応・交渉してまいりましょう。

 

 

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