経営コンサルタントコラム 2016年7月27日号

2016年版中小企業白書まとめのまとめ①

先日、関東経済産業局さん主催で今年の中小企業白書の説明会がありました。

私も参加してまいりましたので、今回は中小企業に関する説明内容について、まとめて皆さんにお見せしたいと思います。

 

経営者の方々にも将来の事業動向を考える上で有用な情報かと思いますので、ぜひ御覧ください。

なお、まとめのまとめ、ではありますが、そもそもが結構なボリュームのため、3回に分けてのご紹介になります。

 

さて、ではまず、中小企業数や収益状況の動向から。

 

1.中小企業、小規模事業者の動向

(1)中小企業の数1

中小企業の数は381万社で、うち中規模企業は56万社、小規模事業者は325万社。

中小企業全体の減少ペースは緩やかとなった。

倒産件数は7年連続で減少し、25年ぶりの低水準。

休廃業、解散件数はいまだ高水準にあるもの、2年連続の減少。

 

(1)中小企業の数2

2012年から2014年の中小企業数の変化の内訳を見ると、中規模企業では開業が廃業を上回り、小規模企業では廃業が開業を上回っている。

 

(1)中小企業の数3

2012年から2014年の中小企業数の変化の内訳を業種別に見ると、小規模小売業の減少幅が特に大きい。

また、地域別では、下位5道府県(静岡、北海道、愛知、新潟、大阪)全てで小規模事業者が3000社以上減少。

 

・中小企業数の業種別変化(2012→2014)

医療福祉+1.5万社

卸売業+0.2万社

その他+0.04万社

その他サービス業▲0.05万社

不動産業、物品賃貸業▲0.7万社

建設業▲1.2万社

製造業▲1.6万社

小売業▲2.6万社

 

(2)小規模事業者の数1

小規模事業者の約9.1万社減少の要因は、個人事業者の減少。法人数は減少せず。

「小売業」「宿泊業、飲食サービス業」「医療、福祉業」等で規模の拡大・縮小がおこっている。

 

(2)小規模事業者の数2

2014年では、自営業者の高齢化が一段と加速。年齢階級別では70代が最多で約80万人となっている。

自営業者の離職理由は「病気、高齢のため(40.4%)」「事業不振や先行き不安(12.3%)」「会社倒産、事業所閉鎖のため(8.1%)」となっている。

 

(3)企業収益と景況感

中小企業の経常利益は過去最高水準となり、景況感も改善傾向にあるが、売上高は伸び悩んでいる。

また、小規模事業者の業況は、持ち直し基調の中にも弱い動きが見られる。

 

(4)収益増加の背景

2009年から2015年にかけての経常利益の変化を要因別にみると、中小企業では(1)売上高の減少(2)変動費の減少(原材料・エネルギー価格の低下等が背景の一つ)(3)人件費の減少がおもなものであった。

 

・2009年と2015年を比較した場合の経常利益の増加額

〈大企業〉

売上高要因 +2.0兆円

変動費要因 +2.2兆円

減価償却費 +1.3兆円

営業外損益 +1.1兆円

 

〈中小企業〉

売上高要因 ▲0.9兆円

変動費要因 +1.7兆円

人件費要因 +1.6兆円

減価償却費 +0.1兆円

営業外損益 +0.04兆円

 

(5)人手不足

全体の雇用者数が増加する中、中小企業の人件費は横ばい傾向で、規模の小さな企業で働く雇用者は減少している。

結果、中小企業の有効求人数は大きく増加し、人手不足感が強まっている。

 

(6)設備投資

設備投資は大企業、中小企業ともに伸び悩む中、中小企業では、設備の不足感が生じており、設備の老朽化も進んでいる。

こうした状況を踏まえれば、経常利益が過去最高水準にある今こそ、省力化・合理化や売上拡大等を通じて稼ぐ力を高める必要がある。

 

(7)中小企業の生産性1

中小企業の労働生産性の業種別平均は、大企業における業種別平均を下回っており、特にサービス業については、他業種と比較して労働生産性の平均水準が低い傾向にある。

 

(7)中小企業の生産性2

2013年のOECD加盟国の労働生産性を比較すると、日本は34カ国中22位だが、製造業に限ると10位となっている。

こうした結果を受け、サービス産業の生産性向上が課題となっている。

 

(7)中小企業の生産性3

中小企業の中にも、生産性の高い稼げる企業は存在。

こうした企業は、成長投資に積極的に取り組んでおり、その投資行動や資金調達等の特徴について分析すると、設備投資やIT投資等に積極的で、一人あたりの賃金が高い傾向にある。

 

☆ひとこと

・倒産件数の逓減は景気の良化を示しています。一方、休廃業や解散は高止まりしており、社会的経済的価値のある企業が消滅していることは憂慮すべき事態と思います。

・第一次ベビーブーム世代が引退の時期にきています。小規模の職人社長的な経営者は引き継ぐ人もおらず、廃業にいたることが多いのでしょう。

・中小企業の利益が売上増ではなく、コストダウン(特に人件費)でなされていることがわかります。大企業と比べ減価償却費も小さく、設備投資も行えていないのが見えます。

 

次回は中小企業を取り巻く環境からIT投資などについて見ていきます。

 

池田

 

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