経営コンサルタントコラム 2012年11月30日号

金融円滑化法が終わるとどうなる?(1)

■円滑化法終了のニュースについて

今回のコラムは少々時事的なお話しを。

巷の新聞紙上では、中小企業金融円滑化法(長いので以下「円滑化法」と略します。)

が来年3月に期限を迎えるので、その影響で倒産が増える。円滑法終了に備え再生

ファンドが組成された、というニュースが踊っています。

 

実際に円滑化法を使われて金融機関から返済の猶予をいただいている企業さんに

とっては、終わったあとはどうなるのだ?回収に走られるのか?などという心配に

気が気でないかもしれません。

 

インターネットで検索すれば、「円滑化法終了後の対策指南!○○会計事務所」など

という広告・文句が目に入り、焦る気持ちに追い打ちをかけます。

 

はてさて実際はどうなのでしょう?

 

■なぜ円滑化法ができたのか

リスケ法、返済猶予法などとも呼ばれる円滑化法ですが、本当の名称は「中小企業

者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律」と少々長いものです。

“臨時措置”となっているので、期限のある、時限立法であることがわかります。

この期限、そもそもは平成23年3月までだったのですが、一年間延長されて、

その期限がついに来年3月に訪れる、ということになっています。

 

この法律、当時の亀井金融担当大臣肝いりで成立したことを覚えておられる方もい

らっしゃるかもしれません。今から3年前の平成21年11月のことです。

「亀井法案」などとも言われましたね。ちょうどリーマンショックの影響で景気が

落ち込み、製造業を中心に日本の中小企業が大きな打撃を受けたタイミングです。

 

当時、多くの中小企業の財務状況が悪化しました。減少した売上に比べ過大な債務

(借入)を負うこととなった企業は、借入金の返済が困難になり、貸し手金融機関

は不良債権、不良債権予備軍を多く抱えることになりました。

このような景況下、貸し渋り・貸し剥がしの懸念が生じ、その対策として生まれた

法律がこの円滑化法です。

 

■円滑化法はどのくらい使われているのか

売上減少などにより返済負担が重くなった中小企業さんは、貸付条件の変更(リス

ケジュール)を金融機関さんにお願いし、返済負担を軽減します。円滑化法は、

ざっくりいうと、中小企業からのお願いを金融機関は基本的にのみなさいよ、と

いう法律なので、お願いさえすれば、貸付条件の変更(リスケ)ができる、とい

うことになります。

 

実際、これまでの申込件数は約313万件、実行中の数は約289万件(金融庁資料

より)もあります。

日本の中小企業数は約177万社(2012年中小企業白書より)ですから、一社

につき借入金融機関が5行あったと仮定すると、申込みをした企業数は313万件

/5行で約63万社になります。

177万社/63万社はなんと全中小企業数の35%!です。

 

10社中小企業が集まったら少なくとも3社はリスケ中だ、ということになります。

自分はリスケなどしていない!という社長さん、もしかしたら会合などで顔を合わ

すお知り合いの社長さんはリスケ中かもしれませんね。

 

しかし、金融機関は貸付条件の変更など、通常(円滑化法が無ければ)、簡単に応じ

てはくれません。未回収の恐れありと判断されたり、信用不安だという話になれば

いち早く回収に走るのが金貸しの常道です。逆の立場で考えれば当り前ですよね。

円滑化法があるからこそ、の話です。

 

今回はこここまで。

次回は円滑化法ってそもそも何だ?ということからお話します。

 

池田

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