事業再生コンサルタントの中小企業経営コラム

再生局面では手形に注意(4)

これまで3回に渡って手形を「振出した」場合の注意点をお話してきました。今回は手形を受け取ったときの注意点について述べていきたいと思います。

 

さて、手形を受け取るとはどういうことでしょうか。手形を振出す効果が「支払の先延ばし」でしたから、手形を受け取る影響はというと、現金の回収が先延ばしにされることですね。

 

手形は会社の信用に基づいて振り出されるものでした。手形を受け取るということは、現金回収ができないリスクも受け取ることになります。ですので、手形を受け取る前に、手形で支払ってもらってもちゃんと回収できるのか、貸倒れにならないか、相手の会社の状況をよく見極めなければなりません。

 

既に手形での取引がある会社は、先方の信用状況について財務諸表をいただくなどして、定期的にチェックする必要があります。問題があれば、手形から掛け、現金での取引に変更する等、貸倒れ対策を検討していかなければなりません。

 

 

逆の立場で考えると、手形決済から現金取引に変えて欲しい、などと取引先から提案を受けた場合は、自分の会社の信用情報が悪化している、そういう噂が流れている、と思って間違いないでしょう。

手形で支払を受けると起こる事

 

 

手形を受け取ると現金の回収が先延ばしにされる(120日後が多い)ので、支払資金は、その売上では“瞬間的に”賄えない、ということが起こります。

 

例えば、

11月1日 請負契約締結(請負金額5000万円、手付金1000万円現金)

11月1日 材料仕入(1000万円、末締め翌末払:12月末)

11月5日 外注依頼(3000万円、末締め翌々末払:1月末)

12月1日 納品、代金受取り(手形、支払期日3月末)

と、こんな取引があったとします。

 

手付金1000万円を現金でいただいているので、12月末の仕入代金支払いは可能ですね。次の支払は1月末の外注費3000万円です。さて、この支払はどうしましょう。

 

この売上に関する支払は受けていますが、手形です。そのため、キャッシュが入ってくるのは120日後の3月末です。困りました。外注費を支払うための現金キャッシュがありません。手付金は仕入の支払に使ってしまってありません。このままでは外注先に迷惑をかけてしまいますし、自社の信用問題になります。

 

このようなことが支払日の直前にわかったとしましょう。銀行の融資は相談してから早くても2週間、普通1カ月程度はかかります。運転資金の調達は間に合いません。困りました。外注先に行って支払期日の延期をお願いしますか?お金をかき集めてきてなんとか払いますか?集められる金額ですか?直前になって青ざめても遅いのです。

 

会社はキャッシュ(現金)がなくなれば倒産しますので、資金の枯渇はどうやっても避けなければなりません。ついては「いつ、いくら必要なのか」を把握する、資金繰り管理が重要になってきます。

 

資金繰り管理をする中で、キャッシュが不足するタイミングが早めに見極められれば、慌てることはありません。銀行から運転資金の融資を受け賄うことも可能でしょうし、手形を振出したり、掛のサイトを調整したり、場合によっては手形を割引いたり、裏書したりして、キャッシュの「入」と「出」を合わせていくことが可能となります。

 

キャッシュが「いつ入ってきて、いつ出ていくのか」を把握することは経営上マストです。

資金繰り管理をしっかり行って、不要な倒産を防ぎましょう。

 

池田

 

無料ダウンロード資料

経営改善計画書書式の無料ダウンロード
資金繰り表書式の無料ダウンロード
中小企業実態基本調査に基づく経営指標の無料ダウンロード

人気コラムTOP5 (前月)

セキュリティアクション宣言二つ星マーク