事業承継・M&A補助金 14次採択結果を解説── 採択率60%超はものづくり補助金の約1.5倍、狙い目の補助金を徹底チェック

2026年5月15日、中小企業庁より事業承継・M&A補助金(14次公募分)の採択結果が公表されました。14次公募の申請締切は令和8年(2026年)4月3日(金)です。

 

採択率は60.7%と、知名度の高い「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」(いずれも過去平均の採択率約40%)を大きく上回る水準が続いています。事業承継・M&Aを検討中の中小企業経営者にとって、積極的に活用を検討すべき補助金のひとつといえます。

 

本稿では、補助金の制度概要・4枠の内容・14次の採択結果・活用のポイントを解説します。

 

事業承継・M&A補助金とは:対象者と補助の範囲

事業承継・M&A補助金は、中小企業が事業承継やM&Aに際して取り組む以下の活動にかかる経費の一部を補助する国の制度です。

 

・事業承継・M&Aに伴う設備投資

・経営資源の引継ぎに関する取り組み

・引継ぎ後の経営統合(PMI:Post Merger Integration)

 

後継者への円滑な事業承継、M&Aを活用した第三者への引継ぎ、そしてM&A後の統合プロセスを財政面からサポートすることで、中小企業の事業継続と経営基盤の強化を促進することを目的としています。

 

4つの申請枠:自社の状況に合った枠を選ぶ

補助対象となる取組内容と経費の種類に応じて、以下の4枠に区分されています。

① 事業承継促進枠

事業承継時に、引き継ぐ予定の経営資源(設備・顧客・技術など)を活用するための設備投資等を行う際の費用の一部を補助します。親族内承継・従業員承継など、後継者が決まっており、承継を機に設備の刷新・更新を検討している事業者に適した枠です。

 

② 専門家活用枠

M&Aを進める際に活用するM&Aアドバイザー・仲介会社・士業専門家などへの報酬・手数料の一部を補助します。M&Aには専門家費用が避けられないため、この枠を活用することでコスト負担を大きく抑えることができます。申請件数・採択件数ともに4枠で最多となっており、M&Aを活用した事業承継への関心の高さを示しています。

 

③ 廃業・再チャレンジ枠

M&Aによる事業継続を目指したものの成立に至らなかった場合に、既存事業を廃業する際の経費(解体費・在庫処分費・原状回復費など)の一部を補助します。「撤退・再出発」という選択肢を支援する枠で、14次では申請1件・採択1件(採択率100%)でした。

 

④ PMI推進枠

M&A成立後の事業再編・統合プロセス(PMI)を支援する枠です。統合に際して活用する専門家(コンサルタント・ITベンダーなど)への費用と、統合に伴う設備投資費用の一部を補助します。M&Aが増加するにつれて、成立後の統合支援へのニーズも高まっており、重要度が増している枠です。

 

14次公募の採択結果:採択率60.7%を維持

14次公募(令和8年4月3日締切)の採択結果は以下のとおりです。

 

◆ 全体

・申請件数:512件

・採択件数:311件

・採択率:60.7%

 

◆ 枠別内訳

 

【事業承継促進枠】

申請:169件 / 採択:103件 / 採択率:60.9%

 

【専門家活用枠】

申請:299件 / 採択:180件 / 採択率:60.2%

 

【PMI推進枠】

申請:43件 / 採択:27件 / 採択率:62.8%

 

【廃業・再チャレンジ枠】

申請:1件 / 採択:1件 / 採択率:100%

 

枠組みが刷新された12次公募以降、全体の採択率は60%前後で安定して推移しており、今次も同水準を維持しています。

事業承継・M&A補助金12次以降申請件数推移グラフ
事業承継・M&A補助金12次以降採択率推移グラフ

他の補助金と比較した採択率の優位性

事業承継・M&A補助金の採択率60%台は、主要補助金の中でも高い水準にあります。

 

・事業承継・M&A補助金(14次):60.7%

・ものづくり補助金(過去平均):約40% ※直近3回(19〜21次)は30%台前半

・IT導入補助金(過去平均)  :約40% ※2025年度最終は43.8%、直近回は30%台も

 

知名度では「ものづくり補助金」や「IT導入補助金」に劣る面があるものの、採択率は平均比で約1.5倍。なお、ものづくり補助金の直近3回は30%台前半まで低下しており、実態としてはさらに差が開いています。事業承継・M&Aという特定の場面に絞った補助金であるため、申請者の目的・状況が明確で、審査との適合性が高くなりやすいことが背景にあると考えられます。

 

※ものづくり補助金の採択率推移の詳細については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

 

事業承継・M&Aのタイミングで補助金を活用するメリット

事業承継やM&Aは、どうしても費用がかかる局面です。専門家への報酬、設備の刷新・整備、統合後のシステム整備など、一時的にまとまったコストが発生します。

 

このタイミングで補助金を組み合わせることで、

 

・設備投資の自己負担額を抑えながら承継後の経営基盤を整備できる

・M&A専門家への報酬の一部を補填でき、良質なアドバイザーを活用しやすくなる

・PMIにかかる専門家費用・システム費用を一部カバーできる

 

といったメリットが生まれます。「どうせかかるコストであれば、補助金で賄えるものは活用する」という視点は、経営判断として非常に合理的です。

 

コンサルタントからの視点:申請前に押さえておくべきポイント

事業承継・M&A補助金は採択率が高い一方、申請書類の作成や事業計画の記載には一定の専門知識が必要です。現場でご支援している経験から、申請にあたって特に重要なポイントを整理します。

 

まず、補助金の申請は「事業承継・M&Aの計画が具体化していること」が前提となります。「いつか承継しようと思っている」という段階ではなく、後継者や譲渡先候補が決まっており、具体的なスケジュールと取り組み内容を説明できる状態が必要です。

 

次に、どの枠に申請するかの判断も重要です。自社の状況(承継前か・M&A中か・M&A後か)と補助したい経費の種類を整理したうえで、最適な枠を選ぶことが採択率向上につながります。

 

なお、次回(15次)の公募スケジュールは現時点では未公表です。公募開始が決まり次第、改めてお知らせします。

 

まとめ

・事業承継・M&A補助金14次の採択率は60.7%、12次以降60%前後で安定

・ものづくり・IT導入補助金(過去平均約40%)と比べて約1.5倍の高採択率

・4枠(事業承継促進・専門家活用・廃業再チャレンジ・PMI推進)から自社の状況に合った枠を選択

・事業承継・M&Aのタイミングで積極的に活用することで、コスト負担を抑えた経営基盤の整備が可能

 

事業承継・M&Aを検討されている方、あるいは「補助金を使えるか確認したい」という方は、早めに専門家にご相談されることをお勧めします。申請要件・公募スケジュールの確認から事業計画書の作成まで、当事務所でもサポートしております。

 

 

【事業承継・M&A・補助金活用のご相談は当事務所へ】

 

池田ビジネスコンサルティングでは、事業承継・M&Aの戦略立案から補助金活用のサポートまで、中小企業経営者の皆様のお悩みに幅広く対応しています。

 

「後継者問題をそろそろ考えたい」「M&Aで会社を売りたい/買いたい」「補助金が使えるか確認したい」──どの段階からでもお気軽にご相談ください。

 

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▶ 関連記事:事業承継M&A補助金13次結果発表と14次公募要領公開 

 

池田ビジネスコンサルティング(代表 池田輝之)

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