2026年6月5日、中小企業省力化投資補助金(一般型)について重要な情報が2件同時に公表されました。一つは第5回採択結果の発表(採択率61.5%)、もう一つは第7回公募要領の公開です。
第7回の申請ポータルでの受付開始は2026年7月上旬が予定されており、今まさに準備を進めるべきタイミングです。
本稿では、公式まとめ資料と第7回公募要領の全内容をもとに、採択データの分析と第7回の制度詳細・変更点を整理します。
採択発表日:2026年6月5日
申請件数:2,035件 採択件数:1,251件 採択率:61.5%
回 採択発表 申請件数 採択件数 採択率
第1回 2025年6月 1,809件 1,240件 68.5%
第2回 2025年8月 1,160件 707件 60.9%
第3回 2025年11月 2,775件 1,854件 66.8%
第4回 2026年3月 2,100件 1,456件 69.3%
第5回 2026年6月 2,035件 1,251件 61.5%
前回(69.3%)から約8ポイント低下し、第2回(60.9%)以来の低水準となりました。
申請件数は前回比でほぼ横ばいであり、審査基準の厳格化が影響していると考えられます。
ものづくり補助金の採択率が概ね30%台であることと比較すれば依然として高水準ですが、約4割が不採択となっている事実は事業計画書の質が合否を左右することを示しています。
業種別では製造業(49.7%)と建設業(17.7%)の2業種で全体の約67%を占めます。次いで学術研究・専門技術サービス業(6.1%)、卸売業(4.2%)、農業・林業(3.7%)と続きます。
都道府県別は大阪府(140件・11.2%)、東京都(135件・10.8%)、愛知県(110件・8.8%)がトップ3で、3都府県で全体の約31%を占めました。神奈川(57件)、埼玉(57件)、兵庫(55件)、静岡(54件)も上位に並びます。
従業員規模別では6〜10人規模が18.8%でトップ。5人以下(14.1%)と合わせると10人以下の事業者が全体の約33%を占めています。
補助申請額では1,500万〜1,750万円未満が18.1%で最多であり、補助上限近辺への集中傾向が継続しています。
公式まとめ資料に掲載された採択事例の概要です。
製造業(自動車部品加工)では、洗浄・乾燥工程の分断と手作業搬送による品質ばらつきを課題として自動洗浄乾燥装置(ロータリー式)を導入し、工程の一体自動化により省人化と品質安定を実現しました。
建設業(土木工事)では、ICT測量機・油圧ショベル等を複数組み合わせて導入し、施工時間を7.5時間から4.8時間に短縮(1日当たり3.1時間削減)しました。
小売業(食品販売)では自動梱包装置・自動封緘ラインにより出荷工程を一体自動化しコスト削減と安定出荷体制を構築。飲食サービス業(給食)ではAI異物検知コンベアと衛生行動監視AIゲートを導入し年間5,885時間を削減。
宿泊業では、POS・自動精算機・セルフオーダーターミナル等の統合導入により業務時間を約64%削減しました。
いずれも「課題の特定→導入設備との対応関係→定量的な省力化効果」の論理構造が一貫しており、計画書の質が採否を左右することが読み取れます。
公募要領は2026年6月5日に公開されました。
事務局のアナウンスによれば、申請ポータルでの受付開始は2026年7月上旬を予定しています。「公開されている資料を参照し、事業計画書等の提出書類をご準備の上、受付開始をお待ちください」とされており、現時点から書類準備を進めることが求められています。
なお、現在他の回で応募申請・交付申請中の事業者、および交付決定を受けて補助金の支払が完了していない事業者は第7回に申請できません。また、申請にはGビズIDプライムアカウントの取得が必要であり、取得に一定の期間を要するため取得未了の方は早急に手続きを開始してください。
補助上限額は従業員規模に応じて以下の通りです。
大幅賃上げに取り組む事業者には括弧内の特例上限が適用されます。
従業員数 補助上限額(通常) 補助上限額(大幅賃上げ特例)
5人以下 750万円 1,000万円
6〜20人 1,500万円 2,000万円
21〜50人 3,000万円 4,000万円
51〜100人 5,000万円 6,500万円
101人以上 8,000万円 1億円
補助率は中小企業が1/2(大幅賃上げ特例・最低賃金引上げ特例適用時は2/3)、小規模企業者・小規模事業者および再生事業者は2/3です。
採択後、3〜5年の事業計画期間を通じて以下の要件をすべて達成することが求められます。
・事業計画期間において毎年、労働生産性を年平均成長率4.0%以上向上させること。
・事業計画期間終了時点において1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3.5%以上増加させること。
・事業場内最低賃金を事業実施都道府県の最低賃金+30円以上の水準とすること。
・従業員21名以上の場合は次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を「両立支援のひろば」に公表すること
です。
1人当たり給与支給総額の目標未達の場合は達成率に応じて補助金の返還が求められ、年平均成長率が0またはマイナスの場合は全額返還となります。現実的かつ達成可能な目標値の設定が重要です。
機械装置・システム構築費(50万円以上の設備投資が必須)を中核として、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費が対象となります。
機械装置・システム構築費以外の経費の合計上限は500万円(税抜)であり、外注費・専門家経費は補助対象経費総額の2分の1、技術導入費・知的財産権等関連経費は3分の1がそれぞれ上限です。
① 補助対象者に歯科医業を営む医療法人を追加
第7回から補助対象者の区分に「キ:歯科医業を営む医療法人」が新設されました。
都道府県知事の認可を受け設立された医療法人であり、従業員数が300人以下であることが要件です。第6回まで6区分だった補助対象者が7区分に拡大されたことで、歯科医院を運営する医療法人も申請対象となりました。
② 補助対象外事業者の要件が厳格化・拡大
法令違反による申請不可の対象期間が「過去1年」から「公募開始日から5年前以降」に大幅延長されました。
対象範囲も労働関係法令に限らず「補助事業に関連する法令違反全般」に拡大されています。また、経済産業省または中小機構が所管する補助金・給付金等において不正を行った事業者が新たに補助対象外として明記されました。過去に法令違反歴がある場合は申請前に必ず確認が必要です。
③ 補助対象外経費の明確化
「専ら申請者自身ではない他者が利用するシステム及び設備の開発・導入費用」が補助対象外として明記されました。なお、自社が主体的に使用する設備・システムでなければ補助対象外となります。
④ 新加点項目:生産性向上支援センター利用加点(加点No.10)
2026年4月1日より全国47都道府県のよろず支援拠点内に新設された「生産性向上支援センター」による支援を受け、「生産性向上取組計画書」を作成・提出した事業者に加点されます。
よろず支援拠点への相談が計画書の質向上と加点獲得の両方につながる制度であり、申請前段階での活用を検討する価値があります。
⑤ 導入設備への保険・共済加入が原則必須
補助事業で導入した機械装置を対象として、事業計画期間終了まで保険または共済(風水害等の自然災害を含む損害を補償するもの、付保割合50%以上)への加入が原則必須として明記されました。実績報告提出時に加入を示す書類の提出が必要となります。
第7回時点での加点項目は以下の10項目です。
申請前に取得可能な加点項目を洗い出し、エビデンス書類の準備とあわせて加点を最大化することが採択確率を高めます。
受付開始の7月上旬まで時間的余裕はほとんどありません。今すぐ取り組むべき事項を以下に整理します。
GビズIDプライムアカウントの取得
よろず支援拠点(生産性向上支援センター)に相談申し込みと「生産性向上取組計画書」の作成
自社の人手不足課題を特定し、導入予定設備の仕様・見積書を取得
事業計画書※の骨子作成
※事業計画書では、省力化指数・投資回収期間・付加価値額の増加・賃上げとの連動という4つの審査観点を意識した論理構成が求められます。
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池田ビジネスコンサルティングでは、持続化補助金をはじめとした補助金の活用支援から、販路開拓・経営計画の策定サポートまで、中小企業・小規模事業者の皆様のお悩みに幅広く対応しています。
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池田ビジネスコンサルティング(代表 池田輝之)
■ 出典・執筆情報
参照:中小企業省力化投資補助事業(一般型)第5回採択結果
https://shoryokuka.smrj.go.jp/ippan/grant_adoption/
参照:中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第 7 回公募)
https://shoryokuka.smrj.go.jp/assets/pdf/application_guidelines_ippan_07.pdf